「若手社員がすぐ辞める」……その裏にある若者の本音
「せっかく採用した若手社員が、かんたんに辞めてしまう」
多くの企業を見ている中で強く実感するのですが、これは営業職のみならず、ビジネスのあらゆる現場で大きな問題とされていることです。
「辞めたいやつはさっさと辞めてもらったほうが良い」「代わりの人材を探してくれば良い」。少子高齢化で“若い人の絶対数が少ない今”は、そんな考えが通用する時代ではなくなりました。人口減少時代の組織に必要な「人材の底上げ(8割の“普通の人/できない人”をハイパフォーマーに育成する)」も、そもそも組織にこれから育成すべき人材がいなければ実現させることはできません。
いかに若い社員を辞めさせずに戦力として働き続けてもらうかは、現場マネージャーの大きな使命と言えます。では、「若い世代を辞めさせない」ためのマネジメントとは? ここでは若い世代(ゆとり世代・さとり世代・Z世代)の傾向をふたつの観点から見て、対応策についてお話ししていきましょう。
まずひとつめの若い世代の傾向は「教えられることに恵まれて育ってきた」ということ。
2002年に改訂された学習指導要領のもとで、個性を尊重した指導、相対評価から絶対評価への移行、詰め込み型学習偏重から脱し体験学習を導入が進み、これまで「とにかくガンガン勉強しろ!」と言っていた学校現場が「自分らしく学ぶことが大事」と変化した「ゆとり教育」。結果として「基礎学力の低下」などの問題点も話題にのぼり、それを懸念した保護者が子どもたちを学習塾に通わせるケースも増加したように思います。
さらにそのあとのさとり世代・Z世代では、インターネットの普及によって、手軽なウェブでの学習や情報収集が当たり前のものとなりました。
こうした「手厚い教育を受ける環境が整っていた」若い世代が就職し、仕事において何を求めるか? そう、「教えてくれる上司」であり「教えてくれる仕組み」です。一般社団法人日本能率協会の「新入社員調査2022」では、「仕事について丁寧に指導をする上司」を“理想的”だとする割合が過去最高で70%を超えました。
マネージャーの皆さんは、「営業はスピードが大切だ」「お客様には真摯に接するように」といった曖昧なスローガン言葉を使った指導や「まずは何事も経験から」「先輩の背中を見て仕事を覚えろ」といった“あえて手をかけない”人材育成を行っていないでしょうか。
「結果を出したいのに、上司、先輩は何も教えてくれない」「放っておかれたままで不安」……さまざまな企業でヒアリングしていても、そう考えている若い社員は、実はとても多いものです。「若手社員は自分にもっと具体的にいろいろ教えてもらいたがっている」。まずはそう考えることも大事です。