全顧客、全プロセスに全員で対応する“スクラムセールス”
──あらためて、Japan Sales Collection(以下、JSC)優勝おめでとうございます!
高橋 ありがとうございます。出場のきっかけは主催のセレブリックス・今井さんのツイートでした。取り組みから1年で生産性(新規契約+アップセル)が4.5倍になったこともあり、noteでも発信はしていたのですが、自社の営業手法についてより広く知らせる良いチャンスではないかと申し込みました。
──JSCに出場して、あらためて気がついたことはありましたか。
杉山 プレゼンをブラッシュアップしていく中で、当社のスタイルは「分業制」や「担当制」とは一線を画するものだとあらためて言語化できました。営業担当である私のパートでは、仕組みの実現のためにどのように動いたかを掘り下げたため、業務の棚卸しにもなりましたね。あたりまえに行ってきた自社の取り組みが、多くの営業組織が抱えている問題意識に刺さるものだったことも、JSCに出場したからこそわかったことですね。
──日々の改善の中で、「スクラムセールス」にたどり着いたのだと思うのですが、そもそも「営業のあり方」についてどのような思いをお持ちだったのでしょうか。
高橋 私自身がエンジニア出身の社長で、ものをつくる側の視点で「営業ってなんで必要なんだっけ」と昔からよく考えていたんです。もちろん自分自身も売る経験をしたうえで、結論としては必要な存在だと考えています。
一方でお客様と営業の情報格差が埋まる現在、商談という場で営業が行うべきことはなんだろうかとも問い続けてきました。受注が目標だとしても、商談の場で答えが出ることは稀ですし、契約作業そのものは後日オンラインで行うことができます。
現時点での我々の答えは、「理想の姿をお客様に示す、先導と教育」こそが営業の役割であるということ。そのために必要なものを考え、トップセールスの杉山さんに「これは無駄なんじゃない」とひたすらつっこみながら(笑)生まれたのが、スクラムセールスです。あたりまえのようですが、営業プロセスにはさまざまな無駄が潜んでいるんですよ。
杉山 私はもともと従来的な「担当営業」の経験者です。自分を売る──「私を信じてください」の営業スタイルには、良い部分もありますが、スケーラブルではないですよね。当社自体がフルリモートで働く前提ですから、そのうえでもっとも効率の良い営業スタイルが「全顧客、全プロセスに、全員で対応していく」スクラムセールスだったのです。
高橋 最初は担当制も考えていたのですが、提案力のある杉山さんが、お客様の細かい担当に追われてしまう、杉山さんに案件が偏ってほかの人のリソースが空いてしまう現状があって。
スポットで一部の業務を依頼しようと思った方が、なかなかその業務で成果を出せないときにも課題を感じました。あらゆる業務に対応できる人材がいれば、組織やお客様の状態に合わせて柔軟な対応が可能になると考えたのです。