インバウンドな営業とは「顧客に価値を提供すること」
こんにちは。マーケティング、営業、カスタマーサービス業務を支援するCRM(顧客関係管理)ツールを提供しているHubSpot Japanの代表 兼 シニアセールスディレクター 廣田達樹です。連載初回では、BtoBにおける「インバウンドな営業」の大要を解説します。
一般的に「インバウンドな営業」という言葉を聞くと、顧客(買う側)の方から企業(売る側)へ働きかけるよう誘導する手法を指し、「アウトバウンドな営業」とは、いわゆる飛び込み営業や営業電話などの手法だと思われています。しかし、HubSpotが考える「インバウンドな営業」とは、手法の問題ではなく思想、つまり考え方が軸となります。
インバウンドの思想の根底にあるのは、「顧客から価値を受け取る前に、こちらから価値を提供し、顧客に満足してもらう。顧客の目線に立って活動する」ことであり、これはそのまま営業の本質をとらえています。
このように言葉ではかんたんに聞こえますが、体現することには難しさを感じている方も多いのではないでしょうか。とくに2022年から続く世界的なマクロ経済の変動の中、企業が営業のあり方を考え直す必要が生じている昨今においてはなおさらでしょう。しかし、このような環境下だからこそ、営業として顧客との関係の構築の仕方を改めて見つめ直し、顧客のためのアクションを続けるべきだと考えます。
当社が実施した「顧客との関わり方に関する理想と現実」の意識調査において、「自社が達成したい短期的な数字を優先して、顧客のための行動ができない」という葛藤を多くのビジネスパーソンが抱えているというデータがありました。その一方で、営業担当の大半は「顧客のためになりたい」と考えて働いています。
「インバウンドの思想」は、昨今のような厳しい環境下においても、この葛藤と向き合い「自社と顧客が共に成長する」関係性を実現するためのヒントになるかもしれません。
それではここから、「思想」としてのインバウンドの実践とはどういうものか、具体例でご説明しましょう。