インバウンドな営業活動は「売って終わり」ではない
前回の記事「『インバウンドなパートナー営業』とは? 長期的な成果を挙げるために実践したいふたつのこと」では、パートナー(代理店)にも「インバウンドな営業」を通して役に立つことが大切であることを解説しました。
ここまで「営業」をテーマとして展開してきた連載ですが、「インバウンドな営業」においては「売って終わり」ではなく、カスタマーサクセス等の受注後の支援を充実させることが欠かせないことをお伝えしたく、今回はHubSpotの導入支援チーム/カスタマーサクセスチームのマネージャーである豊倉濃と石川美沙が、どのようにして「長くて深い」顧客との関係を構築しているのか、営業部門との連携など組織づくりの工夫も含めてご紹介します。
営業活動において、顧客が商品やサービスを購入し契約を締結するフェーズのことを「クロージング」と呼んでいる企業も多いと思います。しかし、インバウンドな営業活動においては、「購買」や「契約」は顧客とのやりとりが「クローズ(閉じる)」されるタイミングではなく、顧客との関係が始まる、いわば「オープン」されるタイミングであるとも考えられます。
とくにSaaSビジネスにおいては、顧客が継続してサービスを利用することが事業の成長、つまり顧客の成功に直結します。「カスタマーサクセス」とは言葉のとおり、顧客の成功に向き合うことで自社にも成長をもたらす重要な職種であり、考え方なのです。
HubSpotの「カスタマーサクセス」は主に次のふたつのフェーズで成り立っており、それぞれを別のチームが担当する組織構成になっています。
- 購入していただいたあと、顧客が「HubSpotを通じたビジネスの成功への第一歩を踏み出すこと」をめざして支援を行う、導入支援チーム
- 導入支援期間後、顧客の「プロダクトを活用した事業の成長に並走する」支援を行う、カスタマーサクセスチーム
ひとつめのフェーズである「導入支援」は、プランにもよりますが2ヵ月〜3ヵ月程度のサービスで、短期集中で深く関係性を築き支援をする期間を担当するチーム。ふたつめのフェーズである「カスタマーサクセス」は契約が続く限り支援を続けるチームであり、バイヤーズジャーニーの中で顧客との関係がもっとも長く継続する部署であると言えます。
次のページから、HubSpotのメンバーがそれぞれの役割を果たすうえでどのようなことを意識し、「長くて深い」顧客との関係を構築しているのか、解説していきます。