「営業情報」は金融機関における「現金」と同等だ!
──Salesforce 全国活用チャンピオン大会、大企業部門での優勝おめでとうございます!あらためて藤田さんが日本M&Aセンターに入社された経緯からうかがえますか。
もともと大学院で化学の研究をしており、研究の道以外にも面白い仕事があるかもしれないと探していたところ、当社と出会いました。いまよりもM&Aが一般に知られておらず、今後必要になっていくジャンルだろうと感じたんです。
──未経験でSalesforce運用の担当者になったとのことですが、もともとはどういう仕事を担当をされていたのでしょうか。
入社当時は100名程度の規模だったこともあり、経理や総務以外のバックオフィス業務のすべてを担う部署で、セミナーの企画から電話対応まで幅広く担当していました。2014年1月にSalesforceが導入され、突然担当を任されました。導入後すぐに社内でSalesforce活用プロジェクトが立ち上がったのですが、私自身はSaleforceの知識がゼロだったため、プロジェクトメンバーとディスカッションをしながら、入力を呼び掛けたり、データをつくるところから始めました。レイアウトや入力項目に関して徐々に要望が出るようになり、導入支援のベンダーさんに質問しながら、少しずつ覚えていきました。
──まさに、最初の定着フェーズの段階で躓く企業も多いと思います。定着までは3年半ほどかかったことのことでしたが、どのような壁がありましたか。
各社同じだと思いますが、「入力してください」と呼びかけるだけでは誰も入力しない。そのわりにデータは欲しがる(笑)。もともと使っていたシステムのデータを最初はざっと流し込んでいたものの、それだけでは入力以前に「使いたい」と開くモチベーションが生まれないだろうと、営業が求めるデータをつくることから始めたんです。
当社はM&Aの仲介業を行っています。営業担当者は企業様と契約を結び、譲渡条件をもとに買い手と売り手のM&Aを仲介するのですが、Salesforce導入前は、「いま相手を探している企業の一覧」が用意されていなかったのです。そのため、それぞれが隣の営業担当者に「この企業とマッチしそうな良い企業さんはいない?」と確認する世界でした。
そこで、お客様との契約時の入金データなどをもとに、営業担当者が参照できる企業一覧を用意し、仲介を行いやすい環境をつくったのがはじめの一歩でした。
──便利なプラットフォームとなれば、自然と活用は進んでいきそうです。そのほかの工夫もありますか。
入力する習慣づくりには社長の影響力が大きかったです。社長自身が、データ活用に前向きな人で、全社会議の場で都度「当社にとっての情報は金融機関における現金と同等。営業先で得た情報をその日に入力せずに帰ることは、お金を回収したけど、入金をせずに机に置きっぱなしにすることと同じだ」と伝え続けてくれていました。
その前提で、今は少し変わってますが、特殊なルールができました。7日間活動報告を入れない営業のアカウントが無効化され、Salesforceから締め出されるんです(笑)。