経営者から新事業の営業リーダーへ
――2019年12月にラクスルにジョインされるまでのキャリアについてかんたんにうかがえますか。
もともと20代前半から外資系の広告代理店に勤めており、その経験をもとに広告代理事業のビジネスを数人で立ち上げ、経営に携わっていました。さらにその後、子会社をハワイで立ち上げ、ラクスルにジョインするまでの4年半ほどは会社を経営していました。実は一度広告業を離れてみたくて、その子会社では結婚相談所やカラオケなど、まったく別の事業を買収して運営していました。
広告に携わる事業を展開する当社にあらためて身を置いたのは、CMOで事業本部長の田部と話す機会があり、「事業会社の視点から広告・マーケティングをサポートする」というこれまでにないノバセルの事業スタイルが魅力的で、間違いなく成長する事業だと感じられたからです。
――ノバセル事業の特徴について、あらためて教えてください。
ふたつの柱があります。ひとつは広告代理事業、テレビとデジタルをつなぐマーケティングのDXを支援する事業で、印刷・集客支援のプラットフォーム「ラクスル」で取り組んできたことがバックボーンにあります。もうひとつはSaaSツールとしての「ノバセル」です。「ノバセルアナリティクス」というテレビCMの効果がリアルタイムで可視化できるツールを自分たちで開発し特許も取得し、こちらをコンサルティングとともに外販しています。
――入社以降、ノバセル事業の営業組織をけん引されたとうかがっています。
入社はコロナ禍直前で、そのころは営業メンバーが1日中外出しているようなスタイルでした。当時から抱えていたのは「属人化」の課題です。新規事業は、事業トップが顔となり売ることがある時期までは必要ですが、同時に営業個々人のスキルのバラつきが発生していたのです。
コロナ禍になり早いタイミングでオンラインの営業スタイルに切り替えられたことで、商談数が増加し、商談の録画もできたことでメンバーの知見が社内に貯まりやすくなりました。ただこれは結果論で、「会いに行けなくなってしまった」という事実に対して自分たちでポジティブな面を探してみたという感覚が近いかもしれません。
――オンライン中心の働き方となり、マネージャーとして変化した部分はありますか。
最初の3~4ヵ月はスケジュールをあまりコントロールしようとしておらず、カレンダーがどんどん商談で埋め尽くされる状態でした。営業ですから、アポを入れておくと心が落ち着くというのもあるのですが、オンラインで際限なくアポがこなせてしまう以上、自分で積極的にマネージャーとして思考する時間をブロックする必要があるなと、時間の使い方を変えていきました。