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大手企業への営業戦略と実践~持続的な事業成長に向けて~ 『エンタープライズセールス』出版記念イベント by SalesZine

2024年11月20日(水)15:00~17:10

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顧客起点のビジネスはどう実施する?インバウンドの思想を取り入れた成功事例(AD)

「インバウンド」思想の実践でWeb経由受注を1年で2倍に NTTPCのDX推進プロジェクト

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 NTTグループにおける国内中堅・中小企業向けICTサービスのエキスパートとして、ネットワークサービスやホスティングサービスを提供するNTTPCコミュニケーションズ(以下、NTTPC)。同社はDXを推進し始めた2019年以降、Webマーケティング経由での売上を倍増させており、その裏には「インバウンド」の思想の実践と、それを支えるHubSpotの活用があるという。本記事では、マーケティングの転換を図った立役者であり、デジタルマーケティングの実行責任者である谷口康忠氏と向井英隆氏にインタビューし、DX推進の成果について、実際の成果や社内に及ぼした影響について語ってもらった。(2021年2月取材時の情報です)

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2019年に始動した、DX推進プロジェクト

——はじめに、お二人がご担当されている業務について教えてください。

谷口:私と向井は、会社でのデジタル化を推進する立場として、デジタルマーケティングの施策立案、実行に取り組んでいます。

 元々私はNTTコミュニケーションズに在籍していたのですが、そこでデジタルマーケティングによる成功モデルが徐々にできてきたため、グループ会社でも展開しようという流れになりました。それで私がNTTコミュニケーションズからの出向という形でNTTPCに着任し、そのタイミングと時を同じくして、2019年7月にNTTPCで「DX推進プロジェクト」が立ち上がりました。

 今チームとしては2つのミッションを担っています。1つ目は「通年のデジタルマーケティング施策の実行」です。見込み客の獲得、インサイドセールスによって質の高い商談案件を創出することで、営業効率の最大化に貢献することを目標としています。

 2つ目は、それら施策で生まれた顧客接点から受注までの「営業プロセスの可視化」です。誰もが簡単に数値を分析して、営業活動やサービス活動に役立てられるようになることを目指して活動しているところです。

株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ 営業本部戦略企画部 谷口康忠氏
株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ 営業本部戦略企画部 谷口康忠氏

向井:同じく出向の身なのですが、私の場合それまでデジタルマーケティングとは関係ない部署に在籍していて、谷口が着任したタイミングでの異動となりました。

 谷口が来る前のNTTPCの内情をお話しすると、これまではデジタルで営業プロセスを可視化するような仕組みが整っておらず、問い合わせがあっても、その人がどういう経緯で流入してきたのか、どの施策の効果によるものかが十分に見えていない状況でした

 フォームはちゃんと用意していて、1日数十件の問い合わせは入るのに、それをデータとして蓄積・分析する文化がそもそもなかったんです。イベントに出展して名刺を獲得しても、特に活用することがない状況を続けていました。

株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ 営業本部戦略企画部 向井英隆氏
株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ 営業本部戦略企画部 向井英隆氏

DX推進の第一歩としてMAの導入を検討

——NTTPCのDXを推進するために、お二人が抜擢されたのですね。着任後は、どのようにDXを推進されていったのでしょうか。

谷口:まず先述した2つのミッションを遂行するために、MAツールの導入を検討しました。いくつかのツールを比較して検討したのですが、最終的にHubSpotを選びました。HubSpotを選んだのには、いくつかの理由があります。まずは予算的な面。NTTコミュニケーションズでは他のMAツールを使っていましたが、運用コストを考えるとNTTPCの予算内でまかなうのは難しかったんです。

 また、導入してもツールをフル活用できなければ意味がありません。自分たちでの運用を前提として考えたとき、ツールを実装したあとのフォロー体制が弱いものも多い中で、夏休み期間中に個人的にいじってみた「HubSpot CRM」の使い勝手がよく、自分でできそうと思えるUIであったことも大きかったですね。

 MA導入の目的が単純にメルマガを配信して、MQLを獲っていくことだけなら違ったでしょうが、お手頃な価格、使いやすいUIを備えながら、自分たちがやりたかった公式SNSの立ち上げやキーワード広告の管理など、それ以上のことまでできるツールを探したところHubSpotが総合的に一番使えるプラットフォームだと判断しました。

向井:実際、導入後はこれまでにマーケティングツールを使ったことのない私でも問題なく運用できています。これは、わかりやすいUIと充実の機能、それと手厚いサポートが大きいと思っています。個人的によく使うのがチャットを使ったサポート機能で、ちょっとした疑問もすぐに解決できるのはありがたいです。

谷口:MAツールとして基本的な機能が、マニュアル不要で直感的に使えるというのはありますね。また機能面だけでなく、HubSpotが掲げている「インバウンド」の思想、つまり顧客から先に価値を引き出すのではなく、こちらからいかに価値を届けていくかという考え方に感化されたのも大きいですね。

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「インバウンド」の思想に基づき“戦略策定”と“社員育成”を推進

——有益なコンテンツで見込み客を惹き付ける「インバウンド」の思想はHubSpotの特徴のひとつですね。この考え方が、御社に合っていたということでしょうか?

谷口:そうですね。HubSpotはビジネス成長の鍵として「インバウンド」を提唱しており、実践するためのフレームワークとして「フライホイール」を構築しています。フライホイールは、まず見込み客のニーズに沿うコンテンツを提供することで自社に興味を持っていただき(Attract)、そこから信頼関係を構築し(Engage)満足いただくような成果を出すことで(Delight)、新たなAttractにつなげていくと言う循環型のフレームワークです。

 フライホイールの出発点となるのが、見込み客のニーズを理解することと、有益なコンテンツの提供になります。その2点はマーケティングチームとしても重視するべき部分だと認識しています。

HubSpotが提唱する「フライホイール」
HubSpotが提唱する「フライホイール」

谷口:このインバウンドの思想を有効活用させてもらい、デジタルマーケティングに取り組む中で最大の難所だった戦略の策定社内の合意形成を進めていきました。

 実際にインバウンドの思想をもとに、まずは公式サイトの全問い合わせフォームをHubSpotに切り替えたのですが、そこから実際に結果が出るようになると、全社的にもっとデジマに投資しよう、有効活用しようという意見が増えていきました。

 またインバウンド手法に関する知識や技術をインプットしていくため、「HubSpotアカデミー」という学習コンテンツも活用し、社員の育成も同時に進めていきました。今ではチームメンバー全員が、アカデミーの基本資格である“インバウンドマーケティング認定”を取得するまでに至っています。

データ管理を一元化、アプローチ方法にも変化

——「インバウンド」の思想とその成果を共有していくことで、デジタルマーケティングへの社内理解も得ていったのですね。HubSpotを導入されてからは、どのように活用されているのでしょうか?

谷口:まずは、顧客情報の一元管理を進めていきました。集めていたものの、これまでデータとして蓄積していなかった「ウェビナー参加者」「Webの問い合わせ」「資料ダウンロード」「名刺情報」からのコンタクト情報と、営業が独自に入れていたDBの情報が分かれていたので、HubSpotをハブに一本化を図ったのです。

 後者はパートナー営業に特化しているばかりに商談管理ができておらず、受注結果だけしか情報がなかったので、最初に公式サイトやランディングページにタグを埋め込んで顧客の行動履歴を収集していきました。

向井:1年かけてようやく約4万5,000人のコンタクト情報獲得に成功しまして、そのデータをセグメントで分類しながら、オプトインを取ってメールを月に2回配信しています。

 取り組みを進めていくうちに、当初の目的であったデジタルによるプロセスの可視化だけでなく、コンテンツマーケティングを実践できる環境が整ってきました。たとえば、ホワイトペーパーのダウンロードサイトや、ランディングページの作成が内製でできるようになりました。

谷口:他にもTwitterやFacebookにおける施策管理やモニタリング、キーワード広告やSEO対策、つまりユーザーに対するフロント施策実行のすべてをHubSpotで行うようになっています。

 各施策をHubSpotのプラットフォーム上で管理できるようになったことで、個別最適化ではなく全体最適化を考えられるようになったことも大きな変化ですね。

「昨年比2倍」という受注目標を9ヵ月で達成

——インバウンドの考え方に基づいた施策の実行により、どのような成果が出てきているのでしょうか?

谷口:金銭面でのインパクトは大きく、マーケティングツールの一本化、LPの内製などにより、導入した2019年度時点で約2億円のコスト削減が叶いました。

 また導入して2年目になるのですが、今年度の貢献受注額として設定された「昨年度の2倍の受注」という目標を、12月時点で達成しました

 導入1年目で倍、今年はさらに倍と、右肩上がりに数値を上げられているのは、今まで捉えられていなかった層に対して確実にアプローチできて、リードの数を増やせたことが要因と思っています。

 MQLの数字も約2倍に上がりました。SQLは1.2倍増にとどまっていますが、営業部からは「コロナの影響で本来の営業活動に専念できない状態にあったが、質の高いリードのおかげで何とか売上を達成できた」とフィードバックをもらいました。

向井:このご時世なのでイベント経由の名刺獲得は少ないものの、イベントを開催したときは、メルマガ配信許可をとった上で名刺をHubSpotに入れて、後日講演資料を配布すると共にコンタクト情報を取るサイクルが回るようになり、以前のように名刺をもらったものの放置という状態も激減しましたね。

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営業やPRチームとの連携も強化

——数字面でのインパクトが非常に大きいですね。そのほかでは何か変化がありましたか?

向井:施策の効果を定量的に全社に公開することによって、営業だけでなくプロダクトのPR担当など、各所からデジタル施策に対する相談がすごく寄せられるようになり、部署間の連携は強まったと実感しています。

 導入前は広報プロモーションのような役割で、ミッションが曖昧なところがあったのですが、数字を持ち施策を打って成果を出していったことで、社内でのプレゼンスが高まったのだと思います。HubSpotと共にデジマ担当も育っていったのでしょうね。

谷口:NTTPCは先進的なサービスを取り扱っているものの、特に営業面では業務が属人化している部分も多かったんです。正直なところ、広告も打ちっぱなしで終わっており、成果を可視化できていないからどんぶり勘定で営業している様子が散見されていました。

 それが今や、営業から「HubSpotで何かできないか」と相談に来てくれるようになり、HubSpot中心にすべての施策が回るようになってきたのは、非常に大きい成果だと思います。

 それ以外だと、本年度はコロナの影響もあってオフラインのイベントを中止して、代わりにウェビナーを開催したのですが、事前登録募集から当日の視聴参加のログのすべてがAPI連携でつながり、商談リードになるような展開ができるようになったのも大きな変化です。

ABMでインバウンドマーケティングを次の段階に進めていく

——では最後に、今後の展望をお聞かせください。

谷口:これまでは、MQL創出のためのインバウンドマーケティングを実行してきましたが、HubSpotの概念が変化しているのを受け、アカウント(=見込み企業)をターゲットとしたABM(アカウントベースマーケティング)を展開し、売上拡大に貢献していく動きになっています。

 それを活性化させるBDRチームをインサイドセールス部門に昨年7月に立ち上げまして、インバウンドで商談化を作るSDRチームと共にSQLを生み出しています。

 具体的には、アカウント企業のプロファイル分析やキーパーソン情報の把握を行い、セグメント単位で最適なデジタル施策を実施し、インサイドセールスでエンゲージメント強化をしていく手順になっていて、そのすべてがHubSpotを中心に回るようになっているんです。

 BDRの取り組みが上手くいったので、2021年からは本格展開していく方向で、全方位でのインバウンドマーケティングも引き続き展開しながらも、主に過去に接点を持ちながら営業対応しきれていないミドルタッチ層に関してはABMでやっていこうと考えています。

向井:ターゲット企業の中からより成約確度の高いアカウントを予測するツールを入れて、企業スコア別に販売施策を打つことも始めています。もちろんこれもHubSpotと連携し、相互補完するような形でABM実践をしているのです。

 これまでインバウンドマーケティングの基盤整備を進めてきましたが、来年度はプラスアルファでABMを本格始動する転換期に入ると思っています。社内の期待も高まり、高い数値目標が課せられていますので、それをポジティブに捉え、その数字を達成できるようABMに注力していきたいと思います。

谷口:デジタルマーケティングはあくまで裏方だと思っていますので、HubSpotのようなツールを効率的に活用していくことで、本来かけるべき部分にリソースを集中できるようにしていきたいです。どれだけ売上高に貢献できるかを成果として出せて、それを約470社あるNTTグループの中に展開できたら、良いポテンシャルになるのではと思っています。

 個人的な考えとしては、データドリブンという言葉が出てきてもうだいぶ経ちますが、本当の意味でそれをやれている企業はそんなにいないと思うんです。ですが、HubSpotをハブにすることで、その実現に近づけるようになっていることに期待しています。

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