変革の基盤として営業ダッシュボード「MAPPA」を開発
ウイングアーク1stの営業組織がデータドリブン変革に着手したのは、新規の販売データの推移が右肩下がりだった2014年である。当時の営業現場では、営業担当者が正確な数字を認識しておらず、正確な情報に基づいた具体的な戦略が練られていなかった。集計・分析・報告作業に膨大な時間が充てられ、全体の数字把握に1週間かかっていたため、多くの機会を逃してしまっていたという。
担当者が数字を把握していないと何が起こるか。たとえば実際の売上の予算が1億500万円で、見込みが8,700万円、差額が1,800万円だったとする。これを営業担当者は予算が1億円くらい、見込みが9,000万円くらい、差額が1,000万円くらいと“だいたいの感覚”で捉えている。もし案件単価が300万円、見込み案件からの受注率が10%の場合、営業担当者の感覚だと必要受注数が4件、必要見込みが40件となるのに対し、実際には必要受注数が6件で、必要見込みは60件だ。「これが組織規模になると、とてつもないズレになる」(久我氏)のである。
そこで久我氏は、営業の組織を「データで会話ができる組織」へと変えることを決断。「営業が現状の進捗とギャップを捉えて自律的に動けること」「業務作業を効率化して営業の活動時間を増やすこと」「リアルタイムな現状把握でPDCAを回すこと」という3つの目標を設定して改革に取り組んだ。その際に開発したのが、提供するMotionBoardの1テンプレートとなっている営業ダッシュボード「MAPPA」である。
MAPPAでは、部署、事業などの抽出条件を設定すると、ダッシュボードに予算や営業の進捗状況などがグラフや数字で表示される。日時の進捗はもちろん、大きな受注や失注の発生もすぐに読み取ることができる。
マネージャーが確認する画面では、面積みグラフや棒グラフの組み合わせによって前年度と今年度の数値を比較することも可能だ。従来の営業実績データを踏まえることで、パイプラインの推移から、期末の予算達成の見込みも予測ができる。
さらに高度な使い方として、業種と売上規模の軸で顧客数や市場占有率を確認し、自分たちの強みや弱み、今後開拓すべき領域や顧客を把握することもできる。加えて、提案状況と受注率のデータを組み合わせれば、どの提案が顧客にもっともフィットしていたかも振り返りが可能だ。つまり、営業現場だけの活用にとどまらず、年間のマーケティングプランや組織の経営戦略を練ることにも活かせるのだ。
現在ウイングアーク1stでは、営業担当者が商談や顧客のデータを入力すると、自動的に集計・分析、レポート作成、情報共有がなされ、毎朝Slackで全社員に最新データが通知される仕組みが定着している。なお、同社のSlackは営業担当者の問い合わせにBotが自動回答する営業支援機能も備えている。
★MotionBoardに関する詳細資料はこちらからダウンロードいただけます。