企業として培ってきたノウハウがソアスクの価値に
――まずは、おふたりがオプロに入社されるまでのご経歴から伺えますか?
鈴木 オプロに入社する前は、大手のSIerやコンサルティングファームに勤めていました。システム開発、中でもERPの領域を主に担当していたのですが、クラウド製品を扱う仕事がしたいと思ってオプロに入社し、7年が経ちます。現在は主にソアスクの開発を担当しています。
吉田 私は前職もSalesforceのパートナーでした。Salesforce Venturesの出資を受けてゼロから立ち上げたAppExchangeの製品開発と営業を3年間担当し、一通り結果が出たタイミングでオプロに入社して1年が経ちます。現在はオプロが提供するサービス全体の営業責任者です。
――企業のドキュメント作成をサポートするソフトウェアやクラウドサービスを提供されていた御社が、昨年6月にサブスクリプションビジネスの管理アプリ「ソアスク」をリリースするに至った背景を教えてください。
鈴木 約3年前、OPROARTSという帳票生成ソリューションを基盤に見積書や請求書を作成できるアプリの構築を始めたのですが、単純な販売管理の機能だけでは競合製品との差別化が難しいので、業種や業界に特化した機能を持つアプリにシフトさせるという経営判断が働きました。弊社は長年SaaSベンダーとしてサブスクリプションビジネスに携わってきたので、この分野に特化すれば仕組みだけでなくノウハウも含めた価値をお客様に提供できると考え、サブスクリプションビジネス特化型のソアスクをリリースしました。
吉田 AppExchangeの制度が正式に発足する前から、弊社はサードパーティー的な立場でSalesforceと協業関係にあったのですが、彼らのお客様の多くがサブスクリプション型のビジネスを展開されていたことも、この分野に特化したきっかけのひとつです。
Salesforce製品との親和性が高くなければいけない理由
――近年、サブスクリプションモデルはBtoB、BtoCいずれの業態でも一般化しつつあり、新規事業としてサブスクリプションビジネスに参入する企業も増えています。ソアスクの特徴としてSalesforceとの高い親和性が挙げられますが、それによってユーザーはどのような価値を享受できるのでしょうか。
鈴木 Salesforceの真骨頂とも言えるSales CloudやPardotから一気通貫でバックオフィス機能を提供できるというのは非常に大きい価値だと捉えています。SFAにSalesforce製品を使っている企業でも、ERPと分断されていることで顧客の取引前と取引後の情報が統合されていないことが多いです。そのうえ、サブスクリプション型のビジネスを展開していくとなると、単純な販売管理とは違い、使い続けてくださる顧客をきめ細かく管理をする必要があるので、Salesforce製品との親和性はますます高くなければいけません。
吉田 私は、Salesforce製品が備えている機能をそのまま使える点がメリットだと考えています。Salesforce製品とソアスクで取引先情報を共有しているので、たとえばSalesforce Einsteinで「顧客になりやすい人」とスコアリングされた情報をそのままソアスクで引き継ぐことができますし、ソアスクで作成した見積書をPardotから配信することにより、「見積書をクリックした」という評価項目が増えるので、これまで営業担当者が受注までしか追いかけられなかったところを、解約リスクまで一気通貫で管理することができます。見積書や請求書だけでなく、契約台帳もソアスクでつくることができるので、自動更新のお客様には更新案内をPardotから自動送信することもできます。
鈴木 操作性の高さもポイントのひとつです。ソアスクはSalesforce製品の中のタブのひとつというイメージなので、ユーザーからすると「ふたつの独立したソフトを使っている」という感覚はあまりないと思います。Salesforce製品には商談化までのプロセスを可視化できるレポートダッシュボードという機能があるのですが、そこにソアスクで管理している契約情報を流し込めるので、一緒に分析できるという点が経営層の方に喜ばれています。
吉田 サブスクリプション型のビジネスモデルは、最初にサービスをつくり、その投資を回収していくという流れが一般的です。単純な売上だけを見れば数字は積み上がっていますが、そこに対する原価や月額割、年割といった個別の契約状況を加味すると、一体どれくらいライセンスを売れば収益が出るのかわかりにくいのが難点と言えます。ソアスクを導入している場合、Salesforceでボタンを押せば一気通貫で分析できるので、お客様からはその点を評価していただいています。
プロセスの自動化と見える化をバックオフィスにも
――経営層だけでなく、現場の営業担当者も自分たちの仕事が利益を生んでいるかどうかまで見られるのは素晴らしいですね。実際にソアスクを活用している企業や導入を検討している企業は、どういった課題をお持ちなのでしょうか。
鈴木 サブスクリプションの販売管理をExcelで行っていたけれど、ビジネスの隆盛にともなって規模が拡大したことで人の手が回らなくなったという課題をお持ちのお客様は非常に多いです。ソアスクをリリースした直後から引き合いをいただいたので、自動化のニーズは高いと言えます。また、サブスクリプションビジネスは販売プロセスや売上の見方が従来型のビジネスとは違うので、既存のERPではその点に対応しきれていないという悩みもよく伺います。
吉田 システムが整っていないままサブスクリプションビジネスを始めてしまっているケースはたしかに多いです。サブスクリプションビジネスは解約防止施策やライセンス利用状況の管理が複雑で難しいので、そのあたりのノウハウを私たちが提供しながら進めています。
――御社が持つサブスクリプションビジネスの知見と、Salesforce製品との強い連携が、ソアスクを盤石なソリューションにしているのですね。今後もサブスクリプションビジネスを展開する企業は増えていくと思われますが、御社がソアスクで実現されたいことや、挑戦されたいことはありますか?
鈴木 ユーザーの傾向からアップセルやアクティブサポートにつながる次のアクションを分析、提案できるような機能をもっと拡充させたいです。将来的にはBtoCの領域までサービスを広げていきたいですね。Salesforceと私たちがカバーしている領域は違うかもしれませんが、だからこそ提供できる価値もあると思うので、そういった相乗効果を生み出すために引き続き追求していきたいと思っています。
吉田 Salesforceで実現したいことは営業プロセスの自動化と見える化です。その世界観をそのままバックオフィスまでつなげられるのがソアスクなので、これからも業務プロセス自動化の流れを一緒につくっていきたいです。私たちがお客様に機能を紹介するというより、お客様から私たちに「Salesforce上のアプリなら、当然こういうこともできるでしょう」という高い期待を寄せてくださるので、そこに応えられるものをつくり続けていきたいです。
――Salesforceの哲学が、営業領域だけにとどまらず幅広いレイヤーにまで広がっていきそうですね。ありがとうございました!