2020年はセールス・イネーブルメントの年になる!
――あらためまして『セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方』の上梓、おめでとうございます。2020年は日本の営業組織にとってどんな1年になるでしょうか。
「セールス・イネーブルメント元年」になると思います。いわゆるSFAやMAのようなSales Techやインサイドセールスが活用され、マーケティング・セールスにて成果を出す企業が増えてきています。要は、セールス・イネーブルメントの前提となる活動管理という素地が十分に整ってきたということです。
2018年から2019年にかけ、セールス・イネーブルメントという言葉は広まってきましたが、その定義はまだぼんやりとしていました。書籍を出版させていただくことで定義を明らかにでき、実際に取り組んでいる企業の実例を踏まえることで、より具体化できるのではないかと考えています。本書が取り組みをあと押しする良いきっかけになれば嬉しいです。
もちろん、初めてセールス・イネーブルメントを知る人にもわかりやすいようにチャートなどを活用しながらまとめました。いちばんの目的はセールス・イネーブルメントのコンセプトをより広めることです。多くの人に手にとっていただきたいですが、営業役員や責任者の方にはとくにおすすめです。セールス・イネーブルメントは営業責任者にとって、戦略のイニシアチブになるはずです。
――山下さんご自身は日本ヒューレット・パッカード社で法人営業としてキャリアをスタートされています。当時は営業に対してどういうプログラムが展開されていましたか。
現在もそうだと思いますが、非常に教育が充実している会社でした。まず、人事部門が提供する教育が素晴らしかった。ビジネスのジェネラルな知識を学ぶ機会が全社に提供されていたのです。営業部門においても製品アップデートに関する勉強会などが実施されていました。ただ、若き日の私にとってエンタープライズセリングは非常に複雑で難易度が高いものでした。学習やトレーニングの機会と得た知識を、営業活動に活かしきれていませんでした。
――著書内の「ハイパフォーマーではなく、良いときもあれば、悪いときもあるというよくいるタイプの営業でした」という言葉に共感する営業担当者も実際多いのではないかと思います。コンサル業界へ転職されたきっかけは何だったのでしょう。
ソリューションセールスを行うなかで経営課題とソリューションを紐づけられるようにならなくては、本当の意味でのソリューションセールスができないと感じるようになり、経営課題に比較的近い仕事ができるコンサルティングに移りました。
船井総研はとくに日本の中堅中小企業に対する、営業・マーケティングコンサルに強い企業です。経営に近い観点で営業やマーケティングをどう捉えるかを身に着けることができました。一方、人事・人材開発分野のコンサルティングであるマーサージャパンでは、育成や人事制度をどう体系化して制度をつくっていくかという専門性を広げられました。