セールスフォース・ジャパン(以下、Salesforce)は、三菱UFJ銀行が、金融業界向けに特化した自律型AIエージェント「Agentforce 360 for Financial Services」(旧名称:Agentforce for Financial Services)の本稼働を開始したことを発表した。
三菱UFJ銀行は、2025年8月に同ソリューションを選定し、約6ヵ月間にわたる構築期間を経て利用を開始した。これにより同行は、日本の金融グループとして先駆的に、単なるAI導入ではなく行員と自律型AIが共通の基盤上で協働し実業務を完結させる「エージェンティック エンタープライズ」への変革を本格化させる。

背景
三菱UFJ銀行は、顧客データの一元化と営業力の最大化を目的に構築したAgentforce 360 for Financial Servicesを中核基盤のひとつとして、AIエージェントの活用を推進している。今回の本稼働では、法人および個人営業の最前線で実務を担う営業担当行員への展開を見据えて本番環境での利用を開始した。
Salesforceの支援と効果
三菱UFJ銀行が進めるさまざまなAI活用において、SalesforceのAgentforce 360 for Financial Servicesは、次の点を通じて法人および個人営業を支援する。
- 顧客情報の網羅的な収集と高度な分析支援:従来、行員がSalesforce上に分散する顧客情報を手作業で確認していた業務をAIエージェントが担う。顧客属性や提案・取引履歴といったAgentforce Financial Services(旧名称:Financial Services Cloud)内のデータを横断的に活用することで、より深い顧客理解に基づいた対話を可能にする。
- 行内ナレッジのスピーディーな活用と専門知識の継承支援:行内に蓄積されたベテラン行員の暗黙知やノウハウといったナレッジへのアクセスをAIエージェントが仲介する。行員が自然言語で問いかけるだけで、過去の最適な提案手法や専門的なスキームをスピーディーに特定する。経験の浅い行員であっても、ベテラン層の知見をスピーディーに引き出すことが可能となり、組織体での提案品質の均一化と高度化を可能にする。
期待される効果
今回の本稼働を一歩目として、営業現場の第一線で実務を担う行員は面談準備などの時間を要する業務から解放される。Agentforce Financial Servicesのデータを基盤としてAIエージェントが支援を行うことで、行員は精度のある仮説を持って顧客との対話に臨むことが可能となる。このAIエージェントによる実務支援の深化を通じて、業務効率の飛躍的な向上とともに、顧客1人ひとりのニーズに寄り添った付加価値のある提案と、顧客体験のさらなる向上を図る。
今後の展望
三菱UFJ銀行では、Agentforce Financial Services内の顧客データに加え、最新のニュースや市場動向などの外部情報をリアルタイムで統合・分析し、面談前に顧客の関心が高いと推察されるトピックを優先順位づけして提示することで、準備時間の削減と、より深い顧客理解に基づく対話の実現を目指している。さらに、集約されたデータと対話の文脈をもとに、AIエージェントが顧客ごとに最適化された提案シナリオの策定を支援することで、行員が戦略立案や実行といった付加価値の高い業務に専念できる環境を整備していく。
三菱UFJ銀行 法人・ウェルスマネジメント企画部 システム企画グループ 次長 武井優氏のコメント
当行が目指すAIと人間が融合した組織変革において、Agentforceの本稼働は重要なマイルストーンです。Agentforce Financial Servicesに蓄積された顧客データとAIが直結することで、営業支援は飛躍的に高度化し、顧客体験の最適化につながるものと期待しています。今後は、行内の様々なAIエージェントとの連携といった活用範囲の拡大を進め、現場の営業力強化と顧客満足度のさらなる向上を目指してまいります。
Salesforce 専務執行役員 エンタープライズ事業統括 エンタープライズ公共・金融・地域SX営業統括本部 統括本部長 田村英則氏のコメント
このたび、三菱UFJ銀行様がAgentforce 360 for Financial Servicesを本稼働されたことを大変光栄に思います。これまで同行が蓄積してこられた顧客データとAIの融合により、日々の業務を自律的に支援する新たな価値を創出します。今後、三菱UFJ銀行様における多様な専門業務を支援するAIエージェントの実装や、複数のAIが連携するマルチエージェント環境の構築に向けた取り組みを支援してまいります。Agentforceは他社および自社開発のAIエージェントをつなぐオーケストレーターとして機能し、金融業界特有の200種類以上の標準アクションやData 360によるデータ活用の拡張を通じて、人とAIが協働する次世代の業務モデルの実現を後押しします。Salesforceは今後も、三菱UFJ銀行様が「エージェンティック エンタープライズ」としてさらなる進化を遂げられるよう、強固なパートナーシップのもと支援してまいります。
