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Salesforce、「Data Cloud」における複数のイノベーションを発表

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 米国Salesforce(以下、Salesforce)は、データとAIを活用して顧客体験を変革する企業の能力を向上させるために「Data Cloud」のいくつかのイノベーションを発表した。

「Data Cloud」について

 前年比130%の有償顧客成長率を記録し、Salesforce史上もっとも急速に成長した独自製品であるData Cloudは、第2四半期だけでも2.3京件(前年比147%増)のレコードを処理した。

 The Adecco Group、Air India、Aston Martin、FedEx、Kawasaki Motors Corp.、Wyndham Hotels & Resortsなどの企業が、顧客との関係強化や生産性の向上、収益の改善を目的に、Data Cloudを日々活用している。とくにAir Indiaは、会員サービス、予約システム、フライトシステムにわたるデータを統合し、毎月55万件以上の問合せを処理するための、信頼できる唯一の情報源(SSOT: Single Source of Truth)としてData Cloudを利用している。

Data Cloud + Customer 360 + Agentforce:Data Cloudは、Salesforce Customer 360のすべてのアプリケーション、Agentforce、Flow、アナリティクスで信頼性の高い顧客データを有効化する。パーソナライズされた顧客体験とリアルタイム分析の基盤を構築し、データ主導のアクションやワークフローをトリガーすることで、すべてのSalesforceアプリで安全なAI活用を推進する。ゼロコピー技術とMuleSoftコネクタにより、Data Cloudはデータレイクやデータウェアハウスを含む、数百ものさまざまなデータソースからデータを取得することができる。

 ビルトインのベクトルデータベースは、企業データの90%を占めているにもかかわらず、活用されずに埋もれていることが多いPDF、テキスト、通話、ボイスメールなどのさまざまな非構造化データを利用できるデータに変換し、構造化データと統合して、包括的な顧客プロファイルを作成し、統合データ基盤のメタデータとして保存する。このメタデータは、Salesforceプラットフォームに完全に統合されているため、設定されたガバナンスポリシーに基づいて、さまざまなSalesforceアプリケーションにシームレスに取り込むことができる。これにより、すべてのチームが360度の顧客ビューへアクセスでき、データセキュリティを損なうことなく、AIを強化し、あらゆるタッチポイントで自動化と分析を推進できるようになる。

 Data Cloudは、「Agentforce」の基盤となる重要な顧客データを提供し、AIエージェントがより状況を把握し、知識を深め、顧客のニーズに適応できるようにする。

 たとえば、不満を抱えた顧客が「Einstein Service Agent」に連絡した場合、Data Cloudに組み込まれたRAG(Retrieval-Augmented Generation)機能が、過去のEメール、サポート問合せ、製品画像、ボイスメール、およびガバナンスポリシーで定義されたその他のデータソースからリアルタイムにインサイトとビジネス文脈を追加し、Agentforceが顧客の不満をよりよく理解できるようにサポートする。次に、Data Cloudのハイブリッド検索機能で、顧客の状況に基づいて適切なナレッジ資料を特定し、Agentforceが問題を正確に解決できるよう支援する。顧客からのリクエストが変化するにつれ、Data CloudはAgentforceに次の最善のステップをガイドする。たとえば、フォローアップのメールを自動化したり、詳細なチャットの要約を人間の担当者へ引き継ぐことなどがあげられる。

 最後に、「Tableau Semantics」は、AIと従業員が同じデータ定義を使用した会話、理解、操作を可能にし、AIエージェントと人のシームレスな移行を促進する。

機能紹介

Data Cloudは、Salesforceプラットフォームの心臓部であり、Salesforceのあらゆる機能にデータを導入する

新機能と拡張機能:Data Cloudの顧客は現在、さまざまなSalesforceの機能において、データへのアクセスと実行を可能にする新しい機能と拡張機能を利用できるようになった。

非構造化オーディオおよびビデオコンテンツの処理をサポート:企業データのうち90%が非構造化フォーマットに閉じ込められているため、企業やAIは、顧客からの電話、研修データ、製品デモ、フィードバック調査、ボイスメール、ウェビナーなど、これまでアクセスできなかったオーディオやビデオソースから顧客データを分析し、抽出できるようになった。 

 新たに検索可能となったこれらのコンテンツにより、顧客プロファイルを充実させ、顧客の嗜好や行動の背後にある深い意図を明らかにし、Agentforceの精度を向上させる。

 たとえば、営業電話の録音を分析することで、営業チームはよくある否定的な反応を特定し、それらに効果的に対応できるようセールストークを磨き上げ、コンバージョン率の向上につなげることができる。

Data Cloud接続先エコシステムの拡大:オープンで拡張性があるData Cloudの基盤に、Square、Stripe、Meta、Splunkなどの追加の事前構築済みData Cloudコネクタを使用することで、拡大しているデータレイク、データウェアハウス、サードパーティシステムのコネクタエコシステムを活用し、企業は自社のデータを持ち込むことができる。また、MuleSoft Direct for Data Cloudで提供されている構築済みの統合機能を使用して、Google Drive、Microsoft SharePoint、Confluence、Sitemap から Data Cloud に非構造化データを取り込むこともできる。これにより、社内外のシステムに関わらず、データを取得して統合し、AIエージェントが提供するユーザー体験に活用することができる。

Sub-second real-time layer:62%のITリーダーが、競争力を維持するためにリアルタイムのデータが必要であると指摘している中、企業はSalesforceを活用して、リアルタイムにデータを取得、統合、分析し、それに基づいて行動に移すことが可能になった。これにより、Data Cloud上に構築された「Einstein Personalization」がリアルタイムのAIレコメンデーション、アナリティクス、自動化とともに強化され、顧客とのタッチポイント全体にわたって、パーソナライゼーションと意思決定が可能になる。

 たとえば、機器の問題を抱える顧客に対応するサポート担当者は、Service Cloud内でリアルタイムのセンサーデータ、最近のメンテナンス記録、過去のサポート問合せに直接アクセスできる。機器のセンサーがデータの送信を停止した場合、アラートが担当者に通知され、問題を診断し、ダウンタイムを抑えるために、的を絞ったソリューションを提案することができる。

信頼性の高いデータとAIのためのガバナンスとセキュリティ:AIを使用しながら、業務を保護し、規模に応じたガバナンス管理を行い、情報漏洩を防止するために、これらの新機能は、AIアプリケーションやプラットフォーム全体で構造化データと非構造化データの管理と保護を改善し、より安全な方法で共有する。

「AI tagging and classification」は、ビジネスポリシーに従って非構造化データのラベルづけと整理を自動化する。データの一貫性が保たれ、ガバナンスの適用が容易になり、AIとユーザーの両方がデータを検索・分析できるようになる。

「Policy-based governance」は、タグ、メタデータ、ユーザー属性などに基づき、ユーザーグループに適切なアクセス権を付与する詳細なセキュリティポリシーを作成することで、アクセスガバナンスを可能にする。このシンプルな体験により、AIを含むユーザーは、プラットフォーム全体で、閲覧が許可されているデータのみにアクセスできる。

「Customer-managed keys」により、企業は独自の暗号化キーを管理でき、データの使用環境に関わらず、データの暗号化と安全性を確保できる。

「Private Connect for Data Cloud」は、Data Cloudとパブリッククラウド環境の間に、安全なネットワーク接続を直接確立することで、データを安全に共有および統合することを可能にする。これにより、データの整合性を損なうことなく、ネットワークの境界を越えてデータを共有できる。

Tableau Semantics:企業はデータの意味と関係性に基づいてデータを整理し、データの出どころに関わらず、データを理解し、使用し、行動を起こせる標準化されたセマンティックモデルを作成することができる。

 たとえば、病院では各部署のデータを標準化し、患者の検査結果、X線、医師のメモなどが、どのように記載されているか(略語、誤字、同義語など)に関わらず、すべてリンクされ、同じ文脈で理解できるようになる。

ハイブリッド検索:企業は、ベクトル検索の意味機能とキーワード検索の完全一致機能を組み合わせることで、自社のナレッジベースからもっとも関連性の高い情報を検索することができる。これは、製品名や略語などの特定のドメイン用語を扱う上で重要な機能。これにより、PDF、画像、音声、動画など、さまざまなメディアにまたがる情報の検索がよりスピーディーにかつ容易になる。

 たとえば、Agentforceは顧客から送られてきた画像に含まれる部品番号を使って、その製品カテゴリーに関連するナレッジ記事を検索し、サポート担当者が顧客の問題を解決できるように支援することができる。

Data Cloud One:企業は、異なる部署、地域、事業単位でサイロ化されている可能性のある複数のSalesforce組織を結びつけ、コード不要のポイント・アンド・クリック設定を使用して、Data Cloudのすべての機能をすべてのSalesforceインスタンスに拡張できるようになった。これにより、信頼できる唯一の情報源(SSOT: Single Source of Truth)となるData Cloudインスタンスを作成し、各組織ごとに新しいData Cloudを作成することなく、すべてのSalesforce組織間でデータの共有や、自動化、計算されたインサイトなどのアクションが可能になる。

 たとえば、顧客の360度ビューで営業案件を充実させたいと考えている営業リーダーは、チームにカスタムコードを書かせて複数のSalesforce組織間でData Cloudデータを統合させる必要がなくなる。かわりに、ハブとなるひとつのData Cloudが各組織にその機能を提供し、すべてのSalesforce組織全体で営業プロファイルをシームレスに充実させることができるようになった。

新しいデータコミュニティ:Salesforceは、ITおよびビジネスリーダー、開発者、Data Cloud熱狂的なユーザーをつなぐオンラインプラットフォームである新しい「Datablazerコミュニティ」も発表した。このコミュニティでは、データの価値を最大限に引き出すための最新ベストプラクティス、トレンド、ツールに関する情報を入手し、インサイトを共有し、学習する機会を提供する。

Salesforce ユニファイドデータサービス&Einstein担当EVP兼GM ラウール・アウラドカー(Rahul Auradkar)氏のコメント

 AIとAIエージェントの新時代において、顧客データとメタデータは企業にとって新たな資産です。日々、より多くの企業が、あらゆるタッチポイントやチャネルでより深い顧客インサイトを得るために、顧客とのやり取りや製品利用からIoT、ソーシャルメディアデータに至るまで、あらゆるデータをData Cloudで統合しています。Data CloudはSalesforceの基盤であるため、企業はデータに基づいて行動し、最もパーソナライズされた有意義な顧客体験を作り出すことができます。

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