米国Salesforceは、2023年3月7日(現地時間)、CRMのための生成AIテクノロジー「Einstein GPT」を発表した。これにより、セールス、サービス、マーケティング、コマース、およびITインタラクションにおいて、AIが作成したコンテンツをハイパースケールで提供する。
Einstein GPTは、SalesforceのAI技術であるEinsteinの次世代版。Salesforce独自のAIモデルに、複数のパートナーの生成AI技術を組み合わせ、Salesforce Data Cloudからのリアルタイムデータとともに、企業のすべての顧客データを取り込みハーモナイズ(※)し一元化する。顧客は自社のデータをOpenAIの高度なAIモデルに結びつけるか、独自の外部モデルを選択し、自然言語プロンプトを直接Salesforce CRM内で使用することで、変化する顧客情報と要件にリアルタイムで適応し続けるコンテンツを生成することが可能になる。
※データハーモナイゼーションとは、複数のソースからデータをまとめてひとつのデータソースであるかのように連携させること。
OpenAIとの統合
Salesforceは、OpenAIのエンタープライズグレードのChatGPT技術をSalesforceのプライベートAIモデルに組み合わせることで、AIによって生成された、関連性が深く信頼性の高いコンテンツの提供を図る。
提供サービスの内容
米国Salesforceが発表したサービスは次のとおり。
- Einstein GPT for Sales:Eメールの作成、会議のスケジュール設定、次の顧客対応の準備などの営業タスクを自動生成。
- Einstein GPT for Service:過去の対応履歴からナレッジ記事を生成。パーソナライズされたエージェントチャットの返信を自動生成し、パーソナライズされた迅速なサービス応対を通じて顧客満足度を向上させる。
- Einstein GPT for Marketing:パーソナライズされたコンテンツを動的に生成して、Eメール、モバイル、Web、および広告などさまざまなチャネルで顧客や見込み客を惹きつける。
- Einstein GPT for Salesforce’s Slack apps:販売機会の的確な要約や、ナレッジ記事の更新などエンドユーザーが取るべきアクションの提示を含む、AIを活用した顧客インサイトをSlackで提供する。
- Einstein GPT for Developers:Salesforce Researchが開発した独自の大規模言語モデルを活用し、AI チャットアシスタントを通じてApexなどのプログラミング言語のコード生成や質問を行うことで、開発者の生産性を向上させる。
Salesforce Venturesによる「ジェネレーティブAIファンド」
同社のグローバル投資部門であるSalesforce Venturesが「ジェネレーティブAIファンド」を設立。この新たな2億5,000万ドルのファンドは、将来性の高いスタートアップに投資することで、エコシステムを牽引し、信頼性の高い生成AIの責任ある開発を加速させる。
OpenAIが構築したChatGPT for Slack
SalesforceとOpenAIは、ChatGPT for Slack appsを発表。このアプリケーションは、新しいAIを活用した会話の要約、あらゆる話題を学習するための調査ツール、メッセージをスピーディーに下書きするための支援機能を提供する。