キャリアや就職・転職全般に関する研究や各種調査を行う機関「Job総研」を運営するライボは、682人の社会人男女を対象に「2023年 上司と部下の意識調査」を実施した。
同調査では、上司から叱られた経験の有無や、叱られることをどのように感じているか、また叱られることで仕事に与えるモチベーションの影響などをそれぞれ年代別で集計したほか、上司側の部下に叱った経験の有無とその理由も調査した。
調査概要
- 調査対象者:全国/男女/20~50代
- 調査条件:1年以内~10年以上勤務している社会人(20人~1,000人以上規模の会社に所属)
- 調査期間:2022年12月28日~2023年1月4日
- 有効回答数:682人
- 調査方法:インターネット調査
調査結果
上司から熱量高く叱られた経験があるかたずねたところ、「経験あり」が38.6%、「経験なし」が61.4%となった。これを年代別で見ていくと、「経験あり」の回答は20代が24.8%、30代が46.1%、40代と50代がともに49.2%と、年代が上がるごとに「経験あり」の回答が多く、20代は「経験なし」の割合が75.2%ともっとも高い結果となった。
適切な場面において上司から叱られることについての意識をたずねると、「叱られたい」(3.0%)と「どちらかといえば叱られたい」(16.0%)を合算した19.0%が“叱られたい派”の回答をした。一方、「叱られたくない」(43.5%)と「どちらかといえば叱られたくない」(37.5%)を合算した“叱られたくない派”の回答は81.0%となった。
これを年代別で見ていくと、“叱られたい派”の回答は20代が最多で23.8%となった。また、年代が上がるごとに“叱られたくない派”の回答が多くなる結果となった。
“叱られたい派”の回答をした129人にその理由を聞くと「自分の成長につながるから」(68.2%)が最多の回答となり、次いで「自分を見てもらえている気がする」「客観的な評価が欲しい」(同率48.1%)が続いた。また“叱られたくない派”の回答をした553人にその理由を聞くと、「萎縮してしまう」(59.1%)が最多の回答となり、次いで「叱られてもしっくりこない」(31.6%)、「反論したくなってしまう」(24.2%)が続いた。
上司から叱られることによる、仕事に対するモチベーションの変化についてたずねると、「上がる」(4.5%)、「やや上がる」(17.7%)を合算した22.2%が“上がる派”の回答をした。一方、「下がる」(52.9%)、「やや下がる」(24.9%)を合算した“下がる派”の回答は77.8%となった。
これを年代別に見ていくと、“上がる派”の回答をした割合がもっとも高くなったのは20代で、26.4%となった。次いで30代が23.0%、50代が16.9%、40代が14.2%となった。
部下がいる171人に部下に熱量高く叱った経験の有無をたずねると、「経験あり」が34.7%で、「経験なし」が64.3%となった。叱らない理由について見ていくと、「時代と価値観が違うから」(40.0%)が最多の回答となり、次いで、「叱ること(内容)がないから」(35.5%)、「ハラスメントを気にしてしまう」(30.9%)が続いた。
また、部下を叱った経験について年代別で見ていくと、年代が上がるごとに「叱った経験あり」の回答が多くなり、50代が52.9%、40代が36.2%、30代が27.8%、20代が26.0%となった。
回答者の自由記述コメント
叱る(叱られる)ことへの捉え方について次のコメントを得た。
<上司がいる回答者のコメント>
- 叱られることは自身の成長につながるが、価値観の世代ギャップで的を射ていない場合が多い(20代)
- 職場で上司から叱られるという経験がないので、おこがましいけど優しすぎるようにも感じる(20代)
- 上司の感情で「怒られる」のとは違うので、しっかり見てくれているという愛を感じる(20代)
- 上司との接点がリモート会議とテキストベースでしかなく、叱られることはまずない(30代)
- 入社してから一度も叱られた経験がないので、自分の意見は言いやすいですが、経験してこられた上司の観点からダメ出しは欲しい(20代)
<部下がいる回答者のコメント>
- 世代ごとに仕事の価値観や基礎能力が違うので、上司としての接し方はかなり気を使っている(30代)
- 部下に叱った経験がないので、叱り方がわからないのが正直なところです(30代)
- 相手の捉え方でハラスメントになりかねないので優しい上司というキャラを設定しています(40代)
- 叱るよりも理論的に良いところ、悪いところ、改善方法を的確に話す必要があると思う(40代)
- 叱ることが部下のためという場面においても、現代において自身の価値観が古いのでは?と引け目を感じてしまう(50代)