適任は「ひとりでやっていける人」
小関氏は、2000年にデルでインサイドセールスと出会った。正社員として現場で働き、マネジメントを経験してきただけでなく、アウトソース型のインサイドセールスチームを岩手県でパートナーと立ち上げたり、派遣社員だけのインサイドセールスチームを立ち上げたり、いくつかのチャレンジしてきた小関氏が思う立ち上げの共通点はいつも「テクノロジー活用」だったという。
セッションは、よくあるインサイドセールスの疑問を「ひとりで始めるインサイドセールス」「SDR・BDR」「SDR・BDRの廃止」という3つのステップに沿いながら小関氏が解消していくスタイルで進行した。
「そもそも、テクノロジーを活用しないインサイドセールスなんてあるんだろうかということですが、あるのだと思います。ただ、私はもうテクノロジーのないインサイドセールスに戻れません。テクノロジーがなければ、お客様が何に関心があるのかわからない状態で電話をすることになります。踏み込んでいいのか、タイミングの測りかたも難しいでしょう。営業活動においてタイミングは重要で、タイミングはテクノロジ―なしには測れません」
2014年に日本法人を立ち上げたマルケトだが、ビジネススタートのタイミングですぐにインサイドセールスを立ち上げたという。社員のひとりめが社長で、ふたりめが小関氏、3人めが「インサイドセールス兼営業」だった。最初に行っていたことは、ウェブサイトへくるインバウンドリードへのアプローチ。訪問するとなると3名の誰かが訪問するかたちをとっていた。
「最初のひとりはどういう人が良いかですが、私はインサイドセールス歴やマネージャー歴はまったく気にしません。年齢も性別も気にしません。気にすることは唯一、『ひとりでやっていける人』かということです」
「ひとりでやっていける」ことにはいくつかの要素があるが、何よりインサイドセールスという存在の可能性を信じていることが大前提だ。「やはり訪問しないとだめですよね」「電話だと難しいよね」という気持ちが心の中にあること自体は理解できるが、「できる!」と思っている人でないと絶対うまくいかないと小関氏は強調した。
ルールをつくることができ、後工程となる営業を理解している人だとさらに好ましく、そういう意味で営業出身者はおすすめできる人材だが、「細部にこだわって仕事ができる」必要もあるため、どんなに優秀な営業でもざっくりとした人は向かないという。
「こんな人がいるのであれば困らないし、引っ張りだこですね。ひとりめはとても重要ですので、妥協しないこと。また、ひとりめとしてアサインされた人がいまここにいるならば会社からそういう評価をされているのだから、自信を持って仕事をしてほしいと思います」
また、インサイドセールスを内製すべきかはケースバイケースであるが、マルケトの場合は自社で立ち上げている。なぜなら、インサイドセールスは会社の「第一印象」であり、情報を集めてくる「目と鼻と耳」であり、「成長のエンジン」であるから、自社でやる以外の選択肢がなかったと小関氏は振り返る。
外部のパートナーからは、良い情報はどんどん入ってくるが、悪い情報は入ってきづらい。自社の社員であれば忖度がない。「お客様は他社と比較して、こういう理由でマルケトがイヤだと言ってました」という情報がきちんと入ってくるのだ。また、成長のエンジンにはふたつの意味がある。ひとつは「売上のパイプライン」を創出する存在だということ。ふたつめは人材だ。将来の会社を支えていく人材が育つ場所でもあるわけである。