大成功企業は、まだ少ない
インサイドセールスは、日本では一部の業界では毎日耳にする言葉になってきましたが、Salesforce社の調査によると、日本での認知率は30%前後、導入している企業は10%前後とどちらもまだ高くはありません。米国では国土が広く訪問営業の効率が悪いことから内勤で完結するインサイドセールスを80%の企業が導入していると言われており、主流の営業手法として確立されています。
日本では、オンライン商談サービスを展開するベンチャー企業の躍進からオンライン商談のインサイドセールスが広まってきており、インサイドセールスが電話やオンライン上で最初のコンタクトを取って商談のアポイント(アポ)を獲得し、そのアポを受け継いだフィールドセールスが商談から受注までを担う「アポ獲得分業型のインサイドセールス組織」の導入も徐々に増えてきています。
本連載は、アポ獲得分業型インサイドセールス組織の立ち上げについてのお話です。
アポ獲得分業型インサイドセールス組織を立ち上げたものの、アポの質が低くてうまくいっているとは言えない、マーケと営業の壁がある、SFA(Sales Force Automation)をうまく使えていない、MA(Marketing Automation)がメルマガばら撒きツールになってしまっている、という声をよく聞きます。「すごく成功している」という話を聞くことはまだ多くありません。
アポ獲得分業型インサイドセールスを導入するとどんな成果が出るのか、導入にはどんなハードルがあるのか、どうすればマーケと営業の壁をうまないのか、SFAとMAをどう使えば良いのかなど、インサイドセールス組織立ち上げで失敗した弊社の実体験をもとに4回の連載でご紹介します。第1回となる今回は、立ち上げ時の失敗と学びについてです。
立ち上げ期、大失敗の3ヵ月からスタート
まず、こちらは弊社がアポ獲得分業型インサイドセールスに取り組んだ成果です。
- トップセールスの営業成果が単月受注最高額の1.5倍に
- 単月の受注総額が前年比1.7倍に
- 新卒1年目の受注貢献成果が、過去2年間の1.2倍に
営業効率を向上させることが目的だったので、成果が出たと言えます。ここまでの成果を出せるインサイドセールス組織の立ち上げには、12ヵ月かかりました。
最初の3ヵ月は、2名のインサイドセールスメンバーと私の合計3名で取り組み、アポ供給数がわずか8件、受注貢献数1件と大きな失敗をしました。