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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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SalesZien Day 2025 Winter

2025年1月28日(火)13:00~18:20

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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哲学の基本姿勢と“イケてるビジネスパーソン”の共通点【哲学者・谷川嘉浩さんに聞く#3】

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 営業組織は企業活動の継続のために、常に高い目標を追い続ける集団です。立ち止まって考えるべきことは当然あれど、それ以前に「まずは実行」を求められる組織でもあるでしょう。加えて、現代は働く時間以外にも「指先のあらゆるタスク」に追われる時代です。忙殺される日々の中で、無意識のうちに「自身」から「逃げて」しまっていないか、そうだとしてなぜその状態を問い直す必要があるのか。悩んでいるはずなのに、悩みを自覚する時間すらとれていない現代の営業リーダーに必要なもののひとつが、「哲学」かもしれません。SalesZineの人気連載「向井さんに聞きたい営業のコト」を担当してきた向井さんが、哲学者の谷川嘉浩さんと対談し、営業と哲学について語り合いました。第3回のテーマは、「手段と目的」「不安耐性」「哲学とイケてるビジネスパーソンの共通点」。ぜひ、新たな領域をちょっとのぞいてみる気持ちで、リラックスして読んでいただければと思います。

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第2回はこちら

人間は「手段に夢中になりやすい」生き物

谷川 人間はそもそも手段に夢中になりやすい生き物です。たとえば、テスト勉強って不思議じゃないですか。本来は一定期間学んできたことを復習して、苦手な部分を把握するための手段なのに、いつのまにかテスト自体が目的になっている。  

 コミュニケーションで言えば、この十数年相手が言っている言葉をオウム返しする手法が流行っていますよね。「辛いんです」「辛かったですよねえ」というような……。ただしオウム返し自体は、傾聴を実践するときの手段のひとつです。相手の心が波立っているときなら、「あなたの味方である」ことを伝えることが大事なのに、オウム返しという手段自体に夢中になってしまう。

谷川嘉浩さん
1990年生まれ。京都市在住の哲学者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、京都市立芸術大学美術学部デザイン科講師。著書に『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』(ちくまプリマー新書)、『スマホ時代の哲学――失われた孤独をめぐる冒険』(ディスカバートゥエンティワン)、『鶴見俊輔の言葉と倫理――想像力、大衆文化、プラグマティズム』(人文書院)、『ネガティヴ・ケイパビリティで生きる』(共著、さくら舎)など。

向井 手段やルーティーンに夢中にならないことって、意外と難しいんですよね。

谷川 まさに。たとえば「怒りを伝える」ことも本来は手段ですよね。「どれくらい相手がダメなことをしてしまったのか」「自分がどれくらい真剣なのか」を伝えることが目的です。「怒りによって相手をぎゃふんと言わせたい」と怒ること自体が目的化してしまった経験を誰しも持っているのではないかと思います。

向井 目的と手段をきちんと分けられないということは、これからの時代は目的をもってAIへ指示するプロンプトがつくれない、と言い換えられるかもしれませんね。

ウェルディレクション合同会社 代表社員 向井俊介さん

約20年、IT業界において中小から大企業のB2Bの営業領域の職務に従事し、CxO等エグゼクティブに対するビジネスも多く経験。2019年に米App Annie日本法人のカントリーマネージャーに就任し、日本法人全体のビジネスを牽引。2020年7月よりウェルディレクション創業。B2Bセールスのアドバイザーとして上場企業からスタートアップまで、広く営業やマーケティングの側面から企業のビジネス成長に貢献している。2023年社会構想大学院大学実務教育学修士号取得。営業の暗黙知を学術的に形式知化するための専門職研究を行う

谷川 今後、人類が生きていく以上AIと向き合うことは避けられないでしょうから、重要なポイントになりそうです。

 鶴見俊輔さんという哲学者が提唱した「親問題・子問題」というものがあります。子問題というのは「売上を上げる」「案件を増やす」というような、目の前にある解くべき問題。一方、親問題とは、自分の人生全体を貫くことになるかもしれないほど大きな問い。自分にとって大切なものについて考えるような問いです。子問題は、常に親問題を背景に持っているべきだと鶴見さんは考えていま した。そうでないと、そもそもの目的や趣旨を見失って、目の前の問題解決に夢中になり、手段が目的化してしまう。

 現在の学校教育では、子問題ばかりを問うことが多い。そして、自分や他人の根本的な価値観やこだわり、つまり親問題について考えたことがある人のほうが、良い指示が出せると思います。これはAIでなく人間相手でも同じことですよね。そういう意味では、自分や他人の親問題に触れる経験を持っているかもこれからの時代に必要な観点だと感じました。

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幼少期に「不安耐性」をつけられたか?

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この記事の著者

SalesZine編集部 宮田華江(セールスジンヘンシュウブ ミヤタハナエ)

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