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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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大手企業への営業戦略と実践~持続的な事業成長に向けて~ 『エンタープライズセールス』出版記念イベント by SalesZine

2024年11月20日(水)15:00~17:10

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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SalesZine Day 2024 Summer

マッキンゼー倉本由香利氏が説く「営業マネージャーの育成」 日本企業が直面する危機と営業改革の第一歩

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 国内市場の縮小や人材不足、円安によるコスト増……日本企業は今、危機的状況に直面しています。この状況を打破するには営業改革が必須ですが、改革を成功させるには、経営層の強い腹決めのもと優秀な営業マネージャーを育成し、改革の柱としなければなりません。2024年7月12日に開催したSalesZine Day 2024 Summerでは、『日本の営業生産性はなぜ低いのか』の著者であり、マッキンゼー パートナーの倉本由香利氏が登壇。「日本企業を営業から変革する──営業マネジメントは今どう動くべきか」と題したセッションにおいて、経営層・営業マネージャーへ向けて改革のヒントとメッセージを贈った様子をお届けします。

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日本企業の危機 営業にのしかかるプレッシャーとは

 アジア太平洋地域および日本における成長・営業・マーケティンググループのリーダーを務める倉本氏。製造業やソフトフェア/IT分野を中心に数多くの企業の営業改革を支援する中、注目したのが日本の営業生産性の低さだ。日本企業(外資系企業の日本支社を含む)の営業生産性は、グローバルと比較して常に低かったという。

 そこで、日本企業の約10社から20社、アメリカや欧州・中国などを含むグローバル企業約50社を対象に調査を実施。その結果をまとめたのが、2021年に発表した『日本の営業生産性はなぜ低いのか』だ。

今、日本の営業は非常に危機的な状況にあります」と倉本氏。日本の営業を取り巻く環境は大きく変化しているという。そのひとつが営業人口の減少だ。少子高齢化や人口減少により日本の労働力そのものが低下している中、営業も採用が難しくなっている。

マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン パートナー 倉本由香利氏
東京大学理学部物理学科卒業、東京大学理学部物理学修士修了、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院 MBA終了。マッキンゼーにおけるBtoB営業・マーケティングのリーダーとして製造業を中心に営業改革、グローバル成長戦略と拡販実行支援を行う。アジアにおける成長・マーケティング・アンド・セールスグループのリーダーであり、先端産業にも専門性を持つ。主に自動車・自動車部品、半導体・電子部品、機械、ソフトウエア、デジタル、化学品の分野を中心に、売上向上、価格、マーケティングに関わる変革を支援している。また、マッキンゼーにおける女性人材の活用および活躍推進プログラムのリーダーも務める。私生活では二児の母。著作に『日本の営業生産性はなぜ低いのか』、監訳書に『Sales Growth世界のセールス・エグゼクティブが伝える5つの実績のある戦略』がある。現在、Forbes JAPANで「営業改革の教室」を連載中。

 ふたつめの変化として、国内市場縮小により海外/新市場への展開が求められている。日本企業の売上高トップ50社のうち、海外売上高比率の上位26社と下位24社を比較したところ、売上高成長率と営業利益率に大きな差が見られた。トップ50に名を連ねる大企業ですら、海外売上高比率が企業の価値を左右する重要な指標となる。

 なお、日本企業の海外売上高比率は2010年と比較して伸びているが、それでもグローバル企業には及ばない。アメリカや中国のような自国市場が非常に大きい企業ですら、自国市場以外の売上の比率が大きいのだ。この海外進出の必要性は、営業活動にも影響を及ぼしている。

 3つめが、提案営業への転換だ。製品のコモディティ化や複雑化により、営業は従来の「モノ売り」から、顧客の課題を解決するコンサルテーション営業、自社に限らず他社の商品・サービスも組み合わせて提案するソリューション営業など「コト売り」への転換を迫られている。

 これらの変化に加えて、円安や物価高騰にともなう値上げ活動も同時に行わなければならないのが、現場の営業の責任だ。ロジカルに値上げを説明するだけでなく、サブスクリプションなど提供形態の変化やバリュープライシング(製品・サービスで顧客に実現する価値を反映させた価格設定)の活用などにより、提案営業などと同時での値上げ活動が容易となるだろう。

 そして何より憂慮すべきが、G7最下位となる営業生産性の低さだ。倉本氏は、業種別に「営業ROI」をグローバル比較した図を示した。営業ROI(Return On Investment)はマッキンゼーが提唱する営業生産性の指標だ。営業にとってのR(Return)は売上ではなく、粗利(Gross Margin)である。多くの企業では「営業にとってのリターンは売上である」と答えるかもしれないが、マッキンゼーでは「営業のリターンは粗利である」と定義している。売上や販売数量の拡大に留まらず、適正な価格で粗利を維持もしくは上げることが営業の本来の役割だからだ。

 一方、インベストメントは営業コストを指す。つまり営業ROI とは、営業コストに対して何倍の粗利を得られたかを示す指標である。この数値を、営業生産性を表す指標としてマッキンゼーは定義している。

出典:『日本の営業生産性はなぜ低いのか』(倉本由香利 ほか著/マッキンゼー)
※クリックすると拡大します

 図では、営業コストについてはIRなど公的に得られるSG&Aなどを使っているため、実際の営業コストより高く、ROIが本来の定義より低く出てしまうが、日本企業もグローバル企業も、同じ計算で比較している。日本企業の営業ROIが1~2程度であるのに対して、グローバル企業は2~4である。いずれにしても、日本企業の営業ROIはグローバルの競合企業と比べて、著しく低い。

 この危機的状況において、日本企業は営業効率化やDX、ソリューション営業化、プライシング改革といった営業改革を一気に進める必要に迫られている。しかし、なかなかうまくいかない。なぜなら現在の経営層は、このような状況下での営業活動を経験していないからだ。経営層が知見やノウハウを持たないにも関わらず、現場だけで改革を進めるのは無理がある。それでは、いったいどうすれば営業改革を成功へ導くことができるのか。

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改革を成功させる4つの重要ポイント

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この記事の著者

SalesZine編集部 高橋愛里(セールスジンヘンシュウブ タカハシアイリ)

1992年生まれ。新卒で総合情報サービス企業に入社し、求人広告の制作に携わる。2023年翔泳社入社。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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