BtoBマーケティング・営業DXを阻む壁に
有効な「クロスファンクショナルKPI」
──幅広く支援を行うなかで感じる日本の営業組織の課題はありますか。
本当によくある課題ですが、マーケティングと営業の分断は依然として存在しています。そもそも日本では、マーケティング組織がない企業も多かったですが、2010年代から現在にかけ、営業企画もふくめてマーケティングの役割を担う組織が増えてきました。そして現在、海外ではマーケティングから営業まですべてを掌握するCRO(チーフ・レベニュー・オフィサー)が設置される流れが進みつつあります。
──そのような課題に対してHubSpotのソリューションや御社の支援はどのように寄与するのでしょうか。
HubSpotは、マーケティングと営業の壁をなくすために有効なソリューションのひとつです。マーケティングのリード獲得から、営業活動、カスタマーサポートまですべてに必要な機能を網羅しているのですが、いちばんのポイントは顧客のデータベースがひとつだという点です。
それぞれの企業の要件や状況にもよりますが、一見すべてがつながっているようなツールでも、通常は「データ連携」が必要です。そして前述の「マーケティングと営業の壁」が生まれるのも、データ連携がなされていないことが原因と言っても過言ではありません。どうしても、営業はSFAしか見ない、マーケティングはMAしか見ないものです。
表現が難しいですが、正直「仲が良くない」組織もあると思うんです(笑)。その仲介から行うことも、我々の重要な仕事のひとつだと思っています。マーケティングと営業、双方が大事にしていることや、言い分がありますから。
そこで、我々が提唱しているのが、「クロスファンクショナルKPI」です。マーケティングはリード獲得件数やMQLの創出件数、営業は受注数などが目標になりやすいですよね。それはもちろん大切な指標ですが、それに加えてお互いの目標に重なるサブ目標がクロスファンクショナルKPIです。
その壁を乗り越えるためには、戦略も一気通貫で立てていく必要があります。マーケ部長と営業部長で戦略が違うとひずみが発生してしまうのは想像に難くないでしょう。
──ツールや顧客データ、そして組織。あらゆる面で、組織間が連携して改革に挑む必要があるんですね。
実際、我々がお問い合わせをいただく段階では、マーケティングか営業、どちらかの責任者の方だけということが多いです。話をしていくうちに自然と「営業の人も巻き込んで設計したほうが良いのでは」という提案になり、全体設計に入らせてもらうケースが多いですね。
──連携の重要性は皆さん重々承知のうえではあると思うのですが……。でも、難しいものですよね。
たとえば、「有効商談獲得数」。リードが増えているのに有効な商談が少ないとしたら、それはなぜか、そもそもリードが適切ではないから、有効商談が増えないのか──。「これってなんでですかね?」「どのようなチャネルで見込み顧客と接点を増やすと良いでしょうか」と両者の会話が発生していきます。そこでHubSpotのようなひとつのCRMを活用していれば、クロスファンクショナルKPIを追いかけやすいのは間違いありません。