丁寧すぎるトレーニングで架電に不安を抱えたメンバー
前回はデジタルセールスの立ち上げから、成果を実感したPoCの結果について共有しました。今回は採用や内製化に着手した2021年度の取り組みや反省点を紹介します。
2021年度は富士通自体の組織の変革期でもあり、一部関連会社からの未経験人材を受け入れることになりました。現在富士通には約8,000人の営業がいます。デジタルセールスは効率的な営業活動を実現できるチームですから、「リスキリング」的な観点でも、未経験の社内人材を育成できる場所にしたいという思いもありました。結果として、2021年度の1Qに受け入れた6名のうち3名がいまでも活躍してくれています。
ただし、最初の社員化ということで反省すべき点も多々ありました。
中でも3ヵ月にわたるトレーニングを用意したのはtoo muchでした。受け入れた人材が未経験かつ、デジタルセールスを積極的に志してきてくれたわけではなかった背景もあり、丁寧に育てようと意気込みすぎてしまった部分がありました。立ち上がりまで時間をかけすぎてしまったことで、むしろ本番の架電への不安が募ってしまい、トレーニング期間を終えてもなかなか思うように架電ができない状態になってしまったのです。
「メンバーのモチベーションを下げたくない」「ハードルを上げすぎたくない」というスタンスで育成を進め、トレーニングではテクニックをとにかく伝え、1日の架電件数目標は曖昧だったのです。ただ、そのままではハードルはいつまでも上げられません。この経験を経て、組織として目指している成果をきちんと伝え、「そのためには1人ひとりにどれくらいの成果や活動量が求められるか」と逆算思考の癖をつけてもらい、その手段としてテクニックを少しずつ学んでもらうのがベストだといまは感じています。
モチベーションの高め方は褒めるだけではありません。「デジタルセールスの活動が富士通のビジネス成長や営業利益率の向上に直結している」と自分たちがレベニューエンジンであるという実感を持ってもらうための言葉をしつこいくらいに伝えています。結果的に、現在の組織では自律的なカルチャーが実現できているのだと思います。