分業がゆえの「他責」「ぬるま湯」が課題だった
──石黒さんと駒形さんがスマートキャンプに入社した際の営業組織の状況について教えてください。
石黒 私が入社したのは2019年11月です。当時の営業組織はThe Model的に分業・細分化されており、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの4チームが活動していました。ただ、なかなか一体感を持って行動できていないように感じていました。
具体的には、それぞれのチームが他責的になってしまっていたんです。インサイドセールスでは、リードが少ないから商談をつくれない。フィールドセールスは、商談がないから受注が伸びない。さらにカスタマーサクセスは受注の仕方が悪いから解約率が高いなど、どこかほかのチームにボトルネックを求めてしまっていました。
また、それぞれの行動基準が低く、言葉を選ばず表現すれば“ぬるま湯”に近い状態だったと感じます。未達成が当たり前で、本来改善点を見つけて変革していくべきでありながら、どこかほかの部署のせいにしてしまうところがありました。チームを横断してコミュニケーションする機会も少なかったことで、建設的な議論もなかなかなされていませんでした。
駒形 私が入社したタイミングは、2020年5月で、ちょうど石黒が組織改革を含めていろいろと始めているタイミングでした。組織として高い目標に直面しているフェイズでもあり、リーダー層が目指しているステージや行動になかなか現場が追いつけていなかったように感じます。もちろんポジティブに取り組めているメンバーもいた半面、具体的な行動を起こせていないメンバーがいたことも事実です。
石黒 たとえばインサイドセールスのチームでは、1日10件のメールを送るだけでアクションが止まっていたメンバーもいましたね。フィールドセールスでも、1ヵ月に10件しか商談を行っていないメンバーがいるなど、本来は分業体制をとって自身の業務に集中できる環境であるはずが、なかなかアクションが増えていきませんでした。
駒形 そもそも、営業としてあるべき逆算思考やプロセス分析などの「型」やサイクルが浸透していなかったように感じます。とくに危機感を覚えたのが、本当の意味で顧客の課題へ刺さる提案ができていなかったことです。入社後にロープレやアポ同席をしていて「なぜ、その顧客にこの提案をしたのか」が明確ではないシーンが非常に多いと感じました。リードが欲しいという顧客にリードを提供するだけだったり、認知を高めたいという顧客に認知施策を提案するだけであったりと、言われるがままの提案になってしまっていたんです。
当社が提供しているサービスは、SaaS企業様にとってニーズが強い領域のため、平均的な提案であってもそれなりに売れてしまっていました。そのために、どうしても「箱売り」のような、通り一遍の営業になってしまっていたのです。