すぐに成果を出せない新人は「運がない」のか?
新年度になると、多くの新人営業スタッフが入社してくる。業績不振で採用を控えている企業でも、営業スタッフだけは採用するもの。背景には結果を出す前に辞めてしまう人が多いことも挙げられるだろう。
新人営業スタッフの多くが、成果を出せないために去っていく。「新陳代謝が良い組織」と捉えることもできるかもしれないが、入社してすぐに辞めてしまうのは、新人と企業、双方にとってデメリットが多い。企業側は採用コストが回収できないし、辞める側もまたイチから就職活動をしなくてはならない。本当に営業に向いていない人は仕方がないとしても、力を発揮する前に退職してしまうのはもったいないものだ。
私は25年以上の営業キャリアの中で、数多くの新人営業スタッフと出会ってきた。中には入社してすぐに結果を出す人がいる。知識も経験もほとんどない状態で、なぜか契約を決めてくる新人は少なくないのだ。
住宅営業スタッフ時代のこと。配属から1ヵ月で3,000万円を超える家の契約を決めてきたKくんという新人営業スタッフがいた。のちほど詳しく説明するが、Kくんには住宅の知識がほとんどない。それにもかかわらず「よくわからないけど、お客様が契約してくれるみたいです」とあっけらかんと言ってのけていた。当時は“ビギナーズラックだろう”とあまり気にしていなかったものの、これには深い理由があった。
一方でKくんとは逆に、なかなか結果を出せない営業スタッフもいた。一見、仕事ができそうで、周囲からも「あの新人はやりそうだ」と期待されているが、なかなか成果が出ない。残念ながら1件の契約も獲得せず会社を去っていったケースも。当時は、そういった人たちを見て「運がなかったね」と話していたものだ。本当に「運」の問題だったのだろうか。
配属されてすぐに大型契約を獲得する営業スタッフと、努力しているのに結果が出ない営業スタッフ。その違いはズバリ、“新人の強みを活かしているか”どうかだ。新人営業スタッフの強みとは何か、先ほどの営業スタッフ・Kくんの例で詳しく解説しよう。