多忙な営業の入力をExcelライクなRaySheetで促進
──よりビジネスを伸ばすためのIT戦略という考え方でスタートしたのが、DX戦略「イノベーションロードマップ」ですね。営業活動と管理から顧客の予約システムまでを一元化する基盤として、Salesforceを導入した背景を教えてください。
山根 既存の予約管理・見積もり管理システムも10年ほど活用していたのですが、どんな商品がどんなお客様にいつ売れているかなど、詳細の分析がしづらい課題がありました。TKPの会議室はイベントホールに近い50~100名以上の部屋規模が多く、企画のやり直しや見積もりの出し直しなど業務が複雑化しがちなのですが、それを一元管理できていない状態だったのです。
今村 そうですね。当時のSFAと予約管理・見積もり管理システムは、連携はできるものの、そのための開発が都度必要でした。これに対してSalesforceは、機能拡張やカスタマイズをしながらあらゆる情報を一元管理できる点が良いと考え、導入を決めました。
──導入に際し、組織づくりではどのような点を工夫されましたか。
山根 いちばん時間を割いたのが、TKPのあるべき姿=To Be像を議論することでした。各部門からマネージャークラスの人間を業務統括部という新設部門に引き抜き、プロジェクトを進めています。システムのあり方や業務フロー自体がどうあるべきか、組織として最終的に目指したいところは一体どこなのか。会社の各領域のプロフェッショナルたちが侃侃諤諤、3~4ヵ月ほどかけて話し合いました。
今村 経営企画からマネージャー、管理側、オペレーションの部門まで、現場を理解している人たちでTKPのTo Be像を考えるこのプロセスはかなり重要だったと思います。システム的にどうしたいかの視点も大事ですが、まず「TKPはどこを目指すべきなのか」からスタートしたことによって、ゴールまで1本の筋が通るプロジェクトになりました。
──多くの組織でSFA定着における最初かつ最大の壁となるのが、「入力」の定着です。定着に向け、RaySheetを選んだ決め手を教えてください。
山根 前身のSFAでは私自身もきちんと入力していなかったわけですが、私を含め、営業担当者が情報を入力しない理由はいくつかあります。そもそも商談だけで忙しいうえに、弊社の場合はひとり当たりの担当案件数が年間3~400件と非常に多いです。SFAに入力する項目数も多いため、その掛け算になると入力ハードルがとにかく高い。これらのハードル、つまり私自身が入力しない理由をつぶしていく中で、RaySheetに行き着きました。
それまでExcelを活用して情報管理をしていたため、ExcelライクなUIでSalesforceへの入力が叶うとあって、RaySheetとの出会いから導入までは、スムーズに進みました。もちろん導入後1ヵ月くらいはオンボーディング期間が必要でしたが、SFA移行初期の混乱を最小に抑えながら活用を浸透させるハブとしても、RaySheetは非常に使い勝手が良かったです。
Salesforceに入力した情報をRaySheet上でダイレクトに見ながら話すようにするなど、ミーティングの手法を変更した部分もあります。定着に向けて、「入力しなくても仕事ができてしまう」状態をなくし、入力しない言い訳ができない状況をつくっていきました。