顧客からの傷つくひと言は、弱点を見つけるヒント
私はコンサルタントとして15年のキャリアがある。今までいろいろな営業スタッフとお会いし、多くのことを勉強させていただいた。もちろん、悩んでいる営業スタッフの悩みの解決の手助けをさせていただくこともある。
しかし、すべての営業スタッフに対して100%的を射た意見を言えるわけではない。これは私だけではなく、どんなにすごいコンサルタントだとしても寸分の狂いもなく的確にアドバイスすることなどできない。
そんな中、あなたの弱点を的確に指摘し、最高のヒントを与えてくれる存在がいる。それはズバリ“傷つくことを言ってくるお客様”である。営業活動をしていると次のようなお客様に悩まされる。
- 営業スタイルを真っ向から否定してくる
- 傷つく言葉を吐き捨てる
- クレームばかり言ってくる
などなど。実際に、あなたに対して嫌な態度をとったり、嫌なことを言ったりするお客様がいるだろう。
そういったお客様に対して、いけないとは思いながらも「本当にムカつくし、うっとうしい」と思ってしまう。だからどうしても避けがちになり、関係をさらに悪化させてしまう。
こんなときはそうしたお客様を「営業の最高のアドバイスをしてくれるコンサルタントだ」と思うようにする。こう考えるだけ嫌なことを言われても受け取り方が変わってくる。実際、これほど親身になってあなたの弱点をしてくれる存在はいない。本当にありがたいことなのだ。
研修先の営業スタッフNさんのこと。Nさんは若くて元気があり、積極的な性格でお客様との距離をどんどん詰めるタイプだ。お客様によっては「うっとおしい」と感じてしまうかもしれない。
Nさんがショールームで接客していたとき、ひとりのお客様が来店した。名刺をキチンと渡し、しっかりと挨拶した。そして、いつものように元気にセールトークをスタートさせた。するとこのお客様は冷めた目でNさんを見ながら「いきなりそんな勢いで説明されてもただの迷惑でしかありませんよ」と言い放ったという。
これはショックだ。Nさんとしては良かれと思って行ったことに対して、悪いことをしたかのような扱い。Nさんは接客恐怖症になるほどの精神的なダメージを受けた。しかし裏を返せばこの言葉はこうとも考えられる。
「いきなり説明されても迷惑です」
↓
“お客様がリラックスしてから説明する”
そう考えたNさんこの経験を教訓とし、接客方法を見直した。いきなり元気いっぱいでセールトークをするのではなく、まずはじっくりとお客様を観察する。必要であれば説明するし、必要でなければリラックスしていただくことを心がけるようにした。それからはお客様と良い関係を構築できるように。より多くのチャンスをつかめるようになった。この経験を経てNさんの弱点は修正され、トップ営業スタッフとしてブレイクした。