ビックデータ基盤からCDPへ 顧客への提供価値が変化
──トレジャーデータに入社されるまでのキャリアについて教えてください。
2002年にメディアレップのデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)に入社し、広告を中心にさまざまな媒体社様を支援してきました。2011年からは子会社に出向し、AudienceOneというDMPの開発・運営に携わり、子会社の社長も経験しています。AudienceOneはいわゆる3rdパーティデータを活用できるパブリックDMPの側面を持つプロダクトですが、当時はマーケティングにおいてデータ活用が本格的に開始される前で、「データ活用・分析」への理解度が高い企業ばかりでもない時代です。まずは「データを活用する文化」をつくることが先ではないかと考えるようになり、何名かと共に「お客様のデータビジネスを正しく導く」ことを目的にLegolissを立ち上げました。そのときに私が担当し担いだツールのひとつがTreasure Data CDPです。
創業当初はTreasure Data CDPやデータ活用のコンサルティングはブルーオーシャンなビジネスでした。Treasure Data CDPのパートナーとして認知・事業拡大をしていたのですが、徐々に総合代理店やコンサルティング会社が本格的に参入してくるようになり、レッドオーシャンとなっていきます。自分のスキルを高めるためにも、よりハイレベルなデータ活用をお客様と一緒に行いたい、そう考えていたタイミングで、トレジャーデータが新たなチームをつくると聞き、ジョインしたのです。
──カスタマーサクセスチームに携わるようになった背景について教えてください。
入社後「プロフェッショナルサービスチーム(以下、PSチーム)」という新たな顧客支援を行うチームを立ち上げ、当初はカスタマーサクセス(以下、CSチーム)に携わる予定はありませんでした。双方のチーム共にお客様のサポートを行うチームですが、顧客の需要が広がるなかでCSチーム側にいくつかの課題が見えてきました。
Treasure Dataはもともとビッグデータ処理基盤として「クラウドで高速にデータ集計ができる」ことを売りにお客様への導入が進んでいきました。ソーシャルゲームやアプリ、アドテクノロジーを提供するユーザーが多く、バックエンドとして活用されていたのです。一方現在は「事業会社の持つユーザーデータを統合してマーケティングに活用する」というCDP(Customer Data Platform)としての利用が増加しています。
PSチームはお客様に向けて、「CDPを軸とし、ビジネスにおけるデータ活用の全般をサポートする部隊」として、多様なバックグラウンドを持つ5名のメンバーで組織をスタートしました。一方でCSチームは言葉を選ばずに言うと、すでにご契約いただいている企業様に対して広く浅く利活用サポート対応を行うチームです。CDPのお客様は「ビックデータ処理基盤」のころのお客様と比較すると、明確な課題を持っていないケースも少なくありませんでした。「DXをやろう」「データでビジネスを変えていこう」と会社から大号令がかかり、使命感はあるものの、どこから手をつければ良いか悩んでいる状態の担当者様も多くいらっしゃったのです。
一般的なカスタマーサクセスのKPI達成や、顧客の成功を目指すためには、おこがましい言い方ですが、いわゆるコンサルティングの考え方に近い、お客様のデータ活用全般を考えサポートし、ビジネス変革を提案していくところまで踏み込む必要がありました。そこで、私がPSとCS両方の責任者として両者のキャパシティを合わせていく組織改革を行うこととなりました。カスタマーサクセスの役割を細かく定義したうえでPSとCSをひとつのチームに統合し、「新生カスタマーサクセスチーム」をつくる意識で名称も「カスタマーサクセス」側に合わせたのです。