オンボーディングの成果を高める4つのポイント
セッションの中盤では、オンボーディングのパフォーマンスを高める4つのポイントが紹介された。
- 良いコンテンツを見ること
- 意図された練習
- 即時のフィードバック&コーチング
- 業務シナリオでの定着証明
4つめの「定着証明」とは、学習計画に基づいて練習し、何度かスピーディにフィードバックを受けたうえで現場に出ることを指す。西尾は、「人事が教育したのち、現場部門に配属させる」オンボーディング手法が現場からの批判を集めやすい点を指摘しつつ、次のように続けた。
「1回練習しただけですぐ現場に放り出され、できないと『どうしてできないの?』と叱られた経験をお持ちの方は多くいる印象です。しかし、イチローのバッティング動画を見たあとに1回だけ練習をしたとしても、打てるとは限りませんよね」(西尾氏)
育成分野でのテクノロジー活用は過渡期を迎えている。とくに大きく変わったのが、インプット中心からアウトプット中心になったことだ。かつてのEラーニングは、メールで複数回に分けてコンテンツが送られ、送られたコンテンツにまつわる確認テストを行う、という流れが一般的であった。しかし、昨今は「インプット⇒アウトプット⇒アウトプットに対するフィードバック⇒フィードバックを踏まえたアウトプット」と、効果的な学習のデザイン設計を行うことの重要性が見直され始めている。各フェーズの合間に「評価」のステップも挟み、段階的な効果検証を行いながら教育の過不足がないか、都度調整していく手法だ。
他方でそうした「新しい学び方」では、インプットとアウトプットを繰り返すことによってトレーナーの生産性が大きく低下する可能性が懸念される。インプットとアウトプットを何度も繰り返すことで学習の有効性が高まるものの、トレーナーが見守る生徒の数が増えれば増えるほど学習の有効性は下がってしまうのだ。かといって、トレーナーを増やすほどコストは膨らんでしまう。実際に、「トレーナーの生産性」「学習の有効性」「コスト」のバランスが取れずに育成面での妥協を強いられる企業が少なくないのだという。
「だからといって諦めてほしくないですね。テクノロジーを活用することで、3つの制約のバランスを取ることができるようになるからです」(西尾氏)
ユームテクノロジーが提供する「UMU」は、インプットとアウトプットの機能がそれぞれ複数搭載されており、「アンケートを取る⇒動画を見せる⇒質問を投げかける⇒課題を提出させる⇒評価する」などと、各要素を組み合わせることで自由に学びをデザインできる。