インタビューを実施しても営業施策が現場に定着しない原因は?
ツール導入や仕組みづくりを進めるにあたって、ユーザーにインタビューをして、現場の声を聞くことの大切さが理解され始めるようになりました。これまではどちらかというと、机上で営業戦略を考えてきたという営業企画部門の方もアンケートやインタビューを行う機会が増えたのではないでしょうか。
しかし、「アンケートやインタビューを実施したが、営業がツールを利用してくれない」「レポートを見てくれない」という相談をよく受けます。これは形式に沿ってヒアリングをしただけで正しく声を聞くことができておらず、現場が本当に欲しいものを提供できていないからです。
ツールや施策について現場からは多くの要望や不満の声が上がってくると思います。そのなかから、つい「企画にとって都合の良い声」や「役職の高い営業部長の考え」を拾うことが多いと思います。しかし、本当に使われる仕組みを提供するためには、「現場に喜ばれる内容なのか」を判断することが何よりも大事なのです。
100人のインタビューよりひとりの営業を観察するメリット
今回はアンケートやインタビューの精度が上がる、現場の要望をうまく引き出せるオススメの方法をご紹介したいと思います。
まずは営業の1日の行動を徹底的に観察してみましょう。ただ見ていればいいのではありません。通常、営業企画の方は営業活動を行わないと思いますが、あえて営業の業務を手伝ってみるなど、営業と同じ気持ちになって観察をしてみましょう。
営業と同じ目線に立つメリットはふたつあります。ひとつめは、現場がいちばん困っている課題を知ることができることです。同じ空間で仕事をしていると、ふとしたときに愚痴が出ることがあるでしょう。この声が非常に重要で、アンケートやインタビューでは出てこないホンネだったりします。この声は、現場で同じ目線でなければ聞くことはできません。
ふたつめは、営業から信頼を得ることができることです。アンケートやインタビューは、少し上から目線で営業活動を良くしてあげようという姿勢が透けてしまいます。しかし、一緒に仕事を手伝いながらヒアリングを行えば、仲間意識が生まれ、「この人のことなら協力してあげよう」という気持ちに持っていくことができます。
このように、現場で観察を行うと、アンケートやインタビューでは見えてこなかった営業の気持ちに1歩近づくことができます。ひとりに張りついて信頼を得ることで、100人にインタビューしていても見えなかった改善すべきポイントが見えてくるのです。