ジェネシスクラウドサービスは、オリックス生命のコンタクトセンターにおいて「Genesys Cloud」の導入・稼働が開始したことを発表した。
導入の背景
オリックス生命では、これまでオンプレミスのコンタクトセンター・システムをサービス事業者経由で長年利用してきたが、サービス提供の終了にともない、新たなコンタクトセンター・システムの選定を進めることとなった。クラウド移行を前提に各社のコンタクトセンター基盤を比較した結果、同社が業務効率化のために独自開発したコンタクトセンター・アプリケーションとの連携性、国内での導入実績、新機能の追加などの将来性からGenesys Cloudの採用を決定し、その移行プロジェクトはすべて内製で進められた。
稼働までの軌跡
オリックス生命では、従来のコンタクトセンター・システムを導入した際の経験者が不在であったため、プロジェクトにはIT部門だけでなく、コンタクトセンターの業務運用を担当するユーザー部門も加わった。また、同社にGenesys Cloud導入経験者が不在であったため、ジェネシスのプロフェッショナルサービスも加わり、6つのアジャイルチームを構成し、同社初のビジネスアジリティを実現するためのフレームワークSAFe(Scaled Agile Framework)(※1)を適用して導入を進めた。
2023年1月より3月までMVP(※2)の開発を実施し、評価を重ねることで、コンタクトセンター業務に対応したシステムを短期間で構築できると判断。この期間では、従来のシステムと同じ操作性と製品レベルのクオリティを備えたクライアント端末向けのソフトフォンを開発することで、Genesysへの移行にかかる教育期間を短縮できるかと操作性の差異に対応できるかという点を確認。2023年4月から9月まで基盤を含む本開発を行い、12月上旬の先行導入までを11ヵ月で完了した。
この期間では、回線工事、ネットワーク機器、電話機、コールフロー品質に関する課題や同社の別プロジェクト進行によるGenesys適用範囲の拡大など、さまざまな状況の変化に見舞われた。それに対して、ジェネシスのプロフェッショナルサービスによるサポートと6つのアジャイルチームが自律的に2週間ごとのイテレーション(反復)の目標設定と実施項目の優先順位を積極的に組み替えることで対応。以降、順次全国5拠点での導入を進め、2024年4月に約400席の大型コンタクトセンターのクラウド移行を完了した。
オリックス生命保険 常務執行役員 お客さまサービス本部管掌・お客さまサービス本部長 添野昌之氏のコメント
Genesys Cloudを導入したことで、お客さまに価値あるエクスペリエンスを提供するコンタクトセンターの基盤を整備出来たことを非常に嬉しく思います。お客さまに共感し、寄り添ったサービスを提供するためには常にサービスを進化させる必要があります。そのためにクラウドは有効な手段ですが、単に導入するだけでなく、機能を十分理解して使いこなしていくことが重要になります。今回のプロジェクトにおいて内製化したのは、Genesys Cloudに関するノウハウを社内に蓄積し、弊社が目指すサービスに沿ってシステムを最適に活用することが目的でした。今回、ジェネシスのタイムリーなサポートによって、クラウド移行プロジェクトは円滑に完了することができました。ジェネシスには、引き続き、弊社のコンタクトセンターの進化を支えるパートナーとして大きく期待しています。
ジェネシス日本法人代表 ポール・伊藤・リッチー氏のコメント
オリックス生命様がGenesys Cloudを選定していただき、大変光栄です。コンタクトセンターに寄せられるお客様の問い合わせの内容がより複雑化し、個別対応の必要性が高まる中、サービスを最適化、進化していくためにはシステムの使いこなしがこれまで以上に重要になってきています。オリックス生命様が弊社のクラウド・ソリューションを使いこなし、お客さま体験の向上と業務効率化に寄与できるように今後も全力でサポートいたします。
※1 SAFe(Scaled Agile Framework):米Scaled Agileが提供するフレームワーク。SAFeは、経営から組織全体へのアジャイル導入を通じて変革を可能にする手法として、世界で2万を超える組織で実践されている
※2 MVP(Minimum Viable Product):最小実用製品の略で、製品やサービスの開発において、最小限の機能を備えた初期バージョンを指し、早期に実際のユーザーからのフィードバックを基に製品の改善や拡張を行うことを目的としている