バーチャレクスグループのバーチャレクス・コンサルティング(以下、バーチャレクス)は、カスタマーサクセスに関する実態調査を実施した。この調査は2019年から毎年行っており、今回で6回目となる。
【調査実施概要】「2024年カスタマーサクセスに関する調査」
- 調査方法:インターネットアンケート
- 調査実施期間:2024年3月21~25日
- 対象地域:全国
- 対象者:20歳から 65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生を除く)5万3,110人
カスタマーサクセスの認知・理解状況は2割に届かず
「カスタマーサクセスという言葉を聞いたことがありますか?」と質問したところ、「聞いたことがある」という回答は全体の17.8%、「聞いたことがない」は82.2%。6年連続8割を上回る結果となった。また「聞いたことがある」中で、カスタマーサクセスとは何かを理解している人の割合は2.5%だった。
役職別カスタマーサクセス認知度・理解度 企業のトップ層8割以上が「聞いたことがない」
役職別でカスタマーサクセスに対する認知および理解を見てみると、企業のトップを務める人たちの8割以上が「カスタマーサクセスという言葉を聞いたことがない」という、昨年とほぼ同様の結果が示された。
さらに、それぞれの層においてカスタマーサクセスへの理解を確認したところ、「非常に理解をしている」と答えた企業トップ層は昨年より微増で19%。対してカスタマーサクセスへの認知および理解がもっとも進んでいるのは、昨年同様事業の数字を背負う立場である「執行役員・本部長・事業部長」層という結果になった。
サブスクリプション型商材取り扱い企業別 カスタマーサクセス認知度は68.8%
次に、カスタマーサクセスが必須とされている「サブスクリプション型」商材を自社で取り扱っているかどうか別でその認知・理解割合を見てみると、サブスクリプション型製品取り扱いがある人の68.8%は「カスタマーサクセスという言葉を聞いたことがある」と回答。それに対しサブスクリプション型商材の取り扱いがない人では昨年とほぼ変わらず、14.1%という結果だった。
同属性でカスタマーサクセスという言葉を認知している人の中から「理解度」を確認してみると、サブスクリプション型商材の取り扱いがある人の中でカスタマーサクセスという言葉を知っていても、「非常に理解している」と答えた人は27.4%、半数近くの人は「まあ理解している」と回答した。サブスクリプション型商材の取り扱いがない人に関してみてみると、「非常に理解している」と答えた人は1割にも満たなかった。
企業にカスタマーサクセスの担当者がいるのは約半分
カスタマーサクセスという言葉を認知している8,337人に対して、「勤務先でカスタマーサクセスに取り組んでいる部署、または担当者がある・いるか」と質問したところ、「部署がある・担当者がいる」と答えた人は49.8%、取り組みの予定がある人については6.5%と、いずれも昨年より微減となる結果だった。「取り組みの必要性を感じていない」と答えた人は、昨年よりやや増加して16.4%だった。
この結果を回答者の勤務先従業員規模別に見てみると、「カスタマーサクセスに取り組んでいる部署、または担当者がいる」と回答した割合について、全体的に昨年度からの減少傾向が見られる中、1,000人から3,000人未満規模の企業では昨年より1.1ポイント、5,000人から10,000人未満規模の企業では2.2ポイントと、いずれも上昇。毎年各項目の割合的には大きな変化はないが、「取り組んでいる部署、または担当者はおらず、今後も取り組む予定はない、かつ必要性も感じていない」と答えた人が、全セグメントにおいて昨年より増加している結果だった。
サブスクリプション型商材取り扱い有無別 カスタマーサクセス取り組み状況
最後に、サブスクリプション型商材取り扱い有無別でカスタマーサクセス取り組み状況を見てみると、「カスタマーサクセスの部署がある・担当者がいる」というサブスクリプション型商材取り扱い企業は75.7%、さらには「今後取り組む予定」である人が9%、「必要性を感じている」と回答した人は6.5%という結果となり、サブスクリプション型ビジネスにおけるカスタマーサクセスの重要性は昨年から変わっていない。
一方、サブスクリプション型の商材を扱っていない企業においては、カスタマーサクセスの取り組みを行っていると答えたのは35.5%で、昨年より4.5ポイント減少。「今後取り組む予定」の人も1.9ポイント減少の5.6%、「必要性を感じている」人は昨年より0.8ポイント増の17.2%だった。
また、カスタマーサクセスを社内で取り組んでいると答えた人に対して、直近3年間でその取り組みが進んだかを聞いたところ、「非常に進んだ」と答えた人が14.6%、「まあ進んだ」と答えた人が35.4%、「どちらかといえば進んだ」という人が35.9%と、全体で85.9%の人がこの3年でカスタマーサクセスの取り組みが進んだと回答しており、昨年より27ポイント以上上昇した。カスタマーサクセスの認知や取り組んでいる企業が経年で増えていなくとも、取り組みを進めている企業の中では進化が見られることがわかる結果となった。