スタジアムは、同社の営業支援事業部の知見およびグループ会社であるエクサウィザーズのAI技術をともに活用し、「コールセンターやインサイドセールスにおける通話内容を“言語領域”も含めて評価」する新たな取り組みを開始したこと発表した。
「通話評価」に関するこれまでの課題
1.本当に評価したい内容は言語領域
通話内容をデータ解析し、そのパラメータを可視化するサービスはこれまで多くリリースされているが、「デジタルで評価できる内容」と「現場で評価したい内容」の相違で、コールセンターやインサイドセールスなどの組織では活用できないケースがあった。
実際に多くのコンクールなどでは「話す速さ」や「音声のトーン」「発話割合」などに代表される非言語領域よりも、「導入のあいさつ」や「言葉遣い」「ヒアリング力」などに代表される言語領域の占める得点が多いことから、既存の通話解析ツールでは不足があったことがわかる。
2.人が聞いて評価する「評価工数」と「属人性」の問題
前述の理由で既存の通話解析ツールを使っていない多くのコールセンターやインサイドセールスなどの組織では、日々通話内容を上司がチェックし、点数化する取り組みが行われているが、ふたつの問題がある。
- 評価工数:仮にひとつの通話が15分、個人を評価するために必要十分な通話データを10回分と仮定すると、1人を評価するのに150分必要な計算になる。またこれを5〜10名に対して上司が評価すると考えれば、750分(12.5時間)〜1,500分(25時間)もの工数が一度の評価にかかってしまう。実際には、この工数を捻出できず正しい評価を行えていないケースや、無理に捻出して上司の労働時間が長期化してしまうケースが散見される。
- 属人性:言語領域の定量化は難しく、多くの場合は「○○ができていること」や「○○をしていないこと」など定性的な評価基準になりがちである。また全体の印象に左右され、個別の項目を正しく点数化できていないこともある。結果、組織内で評価の取り扱いが形骸化する。
3.フィードバックに求められる納得感の醸成
通話を評価する目的は評価された側のスキル向上であるため、そのための適切なフィードバックが求められる。しかし、納得できるフィードバックをするためには前述の「属人性」の問題や、どこがどうだったのか、またどうすべきかなどの「具体性」を持たせる必要がある。評価対象者が評価データを受け取り自ら考え改善する能力を育てることもたいせつだが、一方で、組織全体のスキルを底上げするためにフィードバックの質を平準化することも必要である。
生成AIを活用した通話評価
本サービスでは評価したい音声データを取り込むことにより言語領域と非言語領域をスコアリングし、評価として出力する。また評価に基づいたフィードバックコメントを付与し、評価対象者へ具体的な改善をうながす。
1.言語領域の評価
言語領域は生成AIを用いて、文章や会話の意図を汲み取った評価が可能になったため、デジタルで評価できなかったコンテキストに依存する言語領域の評価に、生成AIを用いて可能にする。これにより実際に現場やコンクールなどで評価される内容により近い評価レポートを出力することができる。
2.評価工数と属人性の解消
生成AIが言語領域を評価することで、人が行っていた評価の大部分を自動化することができ、これにより上司の評価工数を削減するとともに、必要な通話データの評価を担保することが可能になる。また、ブレをなくし一定の基準での評価を行うことにより、全個人の評価が横並びで確認できるようになり、評価査定などに組み込むなど新たな活用方法を図る。
3.納得できるフィードバックの生成
属人性のない一定基準での評価からフィードバックを生成するため、評価対象者が不平感なくフィードバックを受け入れることが可能になる。また、評価を機械が行っているため、どこでどのような評価を行っており、改善するためにはどうすれば良いのかを、文字起こしテキストと紐づけて具体的に返すことができるようになるため、評価対象者のスキル向上が可能になる。