企業・組織のチームワークや、自律型組織づくりを支援するサイボウズチームワーク総研は、「年下の上司」1,500人、「年上の部下」1,000人を対象に「年上の部下へのマネジメント」に関する意識調査を行った。
調査概要
- 調査目的:年功序列型の組織形態が変化する中、年下の上司と年上の部下の関係性を探り、マネジメント支援の参考とする。
- 調査対象:
【図表1:出現率調査】
30~50代会社員(役員、派遣社員、契約社員を除く):3,000名 *割付なし
【図表2~7】
(1)部下に、年上の正社員がいる30~50代ミドルマネージャー(課長〜部長職相当):1,500名
(2)上司(課長〜部長職相当)が年下である50代正社員(職位不問):1,000名
*割付条件:就業実態に寄せるため、勤務先の従業員規模で割付。加えて、年上の部下層では、男女別、年齢別で割付
(総務省統計局「令和3年経済センサス活動調査」「平成29年就業構造基本調査」参照)- 調査期間:2023年5月24日~29日
- 調査方法:パネルを活用したインターネット調査
現在、30~50代会社員のうち、「直属の上司が年下」である人は約20%。従業員数2,000人以上の大企業では、30%近くに達している。今後、年功序列から成果主義へのシフト、定年の延長によるシニア社員の増加などで、上司が年下であるケースはさらに増える可能性がある。サイボウズチームワーク総研では、「年下の上司」と「年上の部下」との関わりを調べ、マネジメント支援のための視点を探った。
「年下の上司」と「年上の部下」、ともに76%が「相手との仕事はやりやすい」と回答
「年下の上司」に対しては「年上の部下」との仕事のやりやすさを、「年上の部下」に対しては「年下の上司」との仕事のやりやすさを聞いた。その結果、ともに76%が「やりやすい」と回答した。
仕事がやりやすいと答えた理由を、年下の上司、年上の部下それぞれに聞き、同じ選択肢から回答してもらった。「年下の上司」側の回答結果を見ると、年上の部下は「仕事を任せられる」「相手が聞く耳を持っている」「相手のスキルや経験が十分」という回答が上位に挙がり、仕事への信頼に関わる理由が見られる。一方「年上の部下」側の回答では、年下の上司は「相手に上から目線がない」「相手が聞く耳を持っている」「相手が話しかけやすい雰囲気」という意見が上位となり、接しやすさ・相談しやすさに関わる理由が上位に挙がった。
「年上の部下」がもっとも必要視するのは「部下の話を聞く」こと
「年上の部下」へのマネジメントに必要と思うことを聞いた。「年下の上司」側の意見で、もっとも多く上がったのは「敬語・丁寧な言葉遣い(41.9%)」だったが、「年上の部下」側では27.7%に留まった。
一方、マネジメントされる側となる「年上の部下」側では、「部下の話を聞く」が43.2%と最多に。次いで、「適切な判断と意思決定」「部下のミスのフォロー」が続いた。これに「年下の上司が年上の部下に実際にしていること」の回答結果を重ねると、いずれも10%以上の差が見られ、実態が追いついていない様子がうかがえる。
「年下の上司」は、「年上の部下」の固定化した価値観やチームの人間関係に苦労
「年下の上司」に、「自身が年下の上司で、苦労したこと」を自由回答で聞いたところ、「年上の部下の固定化したやり方・考え方」「年上の部下に気を遣い、伝え方が難しい」「年上の部下と他メンバーとの、関係調整」といった意見が見られた。
また、「年下の上司」に「年上の部下の価値観は、なかなか変わらない」「年上の部下は、所属チームの人間関係に置いて気を遣う」という意見についてどう思うかたずねたところ、過半数が「そう思う」と回答した。
「年上の部下」には、チームの屋台骨としての期待
「年上の部下」に関する意見を「年下の上司」と「年上の部下」の両者にたずねた。「年下の上司」の回答では「若い人の手本となるべき」が80.8%、「所属チームのパフォーマンス発揮の主力となるべき」が74.6%、「あれこれ指導しなくても、自走して成果を出すべき」が73.2%、「上司に適切な助言やアドバイスをするべき」が62.7%と、いずれも高い傾向となった。「年上の部下」の回答でも同様の傾向を示した。