TISインテックグループのTISは、東洋インキSCホールディングスのデータドリブン経営実現に向けて、製造業向けクラウドサービス「予測型経営DXサービス」のノウハウおよびAI予測を活用した仕組み構築の企画構想を支援したことを発表した。
東洋インキSCホールディングスは、機能性顔料と樹脂を核に独自のスペシャリティケミカル素材の開発、提案を行い、色材・機能材関連、ポリマー・塗加工関連、パッケージ関連、印刷・情報関連の4つのセグメントで事業を展開する化学メーカー。従来、販売計画策定は経験や勘に頼る部分が大きく、各担当の作業負荷や他部門との調整負荷が高いという課題を抱えていた。そのため東洋インキSCホールディングスは、グループのDX推進の一環として、AI予測を活用した客観的な数値に基づくデータドリブンな販売計画策定に挑戦。TISとともに、予測型経営DXサービスのノウハウ・AI予測を活用した仕組み構築の企画構想から要件定義までを推進した。
TISが提供する予測型経営DXサービスは、景気動向、市場動向といった企業の業績に影響を与える社外データなどを収集・蓄積し、社内データと掛け合わせてAI予測エンジンで将来の予測分析を行うサービス。社内外の状況を表す指標の変化・兆候を把握することで、将来予測に基づいた意思決定による経営管理の高度化を実現する。
取り組みの成果と今後について
今回の取り組みにより、経営と各現場が同じ予測や各種分析データといった客観的な情報をもとに議論し、経験と勘だけに頼らない意思決定を行うことが可能になった。
今後、東洋インキSCホールディングスは、生産計画へのシームレスな連携などサプライチェーン全体のDXを推進するとともに、予測をはじめとするデータの利活用を定着させ、データドリブン経営を実現することで、経営のマネジメントレベル高度化を目指す。
また、TISは企画構想で導き出した目指す姿に向け、AI予測を活用した客観的な数値に基づく販売計画策定業務・システムの具体化を支援するとともに、基幹システムへの組み込みや適用領域の拡大など、東洋インキSCホールディングスにおける本運用を支援していく。
販売計画策定業務へのAI予測活用に向けた取り組み
東洋インキSCホールディングスのデータドリブン経営の実現に向けて、TISは次の取り組みを実施した。
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業務変革のための企画構想を支援
予測をどのように計画策定業務に活用するかについて、現場部門も交えた検討を推進し、目指す姿を整理
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実データを使用した予測の有用性検証
澪標アナリティクスと協力し、現行システムから抽出した販売実績データだけでなく、外部データも含めて予測分析を実施し、予測が有用なケースを整理
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企画構想工程で想定した業務プロセスの実務適用要件定義
- 企画構想から、スコープを拡げた予測分析の実施と、その結果を受けた東洋インキSCホールディングスに適した予測要件を整理
- 予測を活用した業務のトライアルを通じた有用性評価
東洋インキSCホールディングスのコメント
執行役員グループ情報システム部 部長 中野仁貴氏
VUCA時代での持続成長のためには、データに基づく意思決定の質とスピードの向上が重要と考えています。本検討は、社内で蓄積されたデータに外部データを取り込むことで、よりデータの深化をはかり、経験・勘に頼ることなく、AIを活用した予測思考で、意思決定の迅速化につなげたい目的があります。今回の販売予測で、「どのような意思決定」を行い、「決定に基づきどう行動すべき」か等、具体的に設計する必要があると考えています。TIS社は、AI予測だけではなく、業務プロセスにも積極的かつ熱心にヒアリングいただきながら実務視点の提案も行っていただいていることを高く評価しております。