ラーニングエージェンシーの研究機関であるラーニングイノベーション総合研究所は、2022年7月、社会人1年目の300人を対象に「入社前後のギャップに関する意識調査」を実施。今回は「離職意向の有無についての属性」で分析を行い、その結果を発表した。
調査概要
ラーニングエージェンシー「若手社員の意識調査(社会人1年目の入社前後のギャップ(離職意向別)編」
- 調査対象者:22~34歳の社会人1年目(以下、新人)である就労者
- 調査時期:2022年7月22日~7月25日
- 調査方法:調査会社によるインターネット調査
- サンプル数:300人(離職意向あり:84人 離職意向なし:171人 その他:45人)
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属性:
<離職意向あり>
- 性別 男性/39%(33人)、女性/61%(51人)
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所属企業の従業員数規模
1人~50人/24%(20人)、51人~100人/14%(12人)、101人~300人/14%(12人)、301人~1,000人/19%(16人)、1,001人~5,000人/12%(10人)、5,000人~/7%(6人)、不明/10%(8人)
<離職意向なし>
- 性別 男性/37%(64人)、女性/63%(107人)
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所属企業の従業員数規模
1人~50人/27%(46人)、51人~100人/12%(21人)、101人~300人/16%(27人)、301人~1,000人/8%(14人)、1,001人~5,000人/9%(15人)、5,000人~/13%(23人)、不明/15%(25人)
※離職意向の有無についての属性
「あなたの転職経験や意向について教えてください」という問いに対し、「転職経験なし、今後予定あり」「転職経験あり、今後予定あり」と回答した人を「離職意向あり」、「転職経験なし、今後予定なし」「転職経験あり、今後予定なし」と回答した人を「離職意向なし」と設定。「わからない」はその他とし対象外とした。
調査結果
入社前後のギャップをたずねた。
離職意向のある新人が感じたギャップは「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」(82.1%)がもっとも多くなり、「社会人の基礎的なマナーの習得」(72.6%)、「配属先」(71.4%)と続いた。
離職意向のない新人が感じたギャップは「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」(64.9%)がもっとも多くなり、「上司から仕事のアドバイス」(63.7%)、「上司への悩み相談」(57.9%)と続いた。
11項目の平均値を比較したところ、離職意向のある新人は平均65.3%、離職意向のない新人は平均55.7%がギャップを実感。離職意向のある新人のほうが離職意向のない新人よりも、ギャップを感じている割合が9.6pt高くなった。
離職意向のある新人が実感したギャップのうち、ネガティブに感じる回答を抽出した。ネガティブなギャップと回答した割合は「仕事の難易度」(52.4%)がもっとも多く、「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」(52.3%)、「社会人の基礎的なマナーの習得」(50.0%)と続いた。
離職意向のある新人が実感したギャップのうち、ポジティブに感じる回答を抽出した。ポジティブなギャップと回答した割合は「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」(29.7%)がもっとも多く、「配属先」(26.2%)、「上司とのコミュニケーション」(25.0%)と続いた。
離職意向のある新人へ、職場の雰囲気・文化に関する入社前後のギャップをたずねた。「想定していたより意見が言いづらい風通しの悪い職場だった」(25.0%)がもっとも多く、「想定したより、自由度が高かった」(20.2%)、「想定していたより明るい雰囲気だった」(17.9%)、「想定していたより熱気にあふれる雰囲気だった」(17.9%)と続いた。
離職意向のある新人へ、「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識)の習得」「社会人の基礎的なマナーの習得」におけるギャップをどのように捉えているかたずねた。
- 生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識)の習得」では、「会社を辞めたくなった」(31.9%)がもっとも多く、「不安に感じた」(23.2%)、「落ち込んだ」「大変だと感じた」(同率18.8%)と続いた。
- 「社会人の基礎的なマナーの習得」では、「会社を辞めたくなった」(23.0%)がもっとも多く、「不安に感じた」(19.7%)、「大変だと感じた」(18.0%)、「落ち込んだ」「不満を抱いた」(同率13.1%)と続いた。
離職意向のある新人へ、「勤務時間」「仕事の難易度」「仕事の量」におけるギャップをどのように捉えているかたずねた。
- 「勤務時間」では「不満を抱いた」(20.4%)がもっとも多く、「成長の機会と感じた」「会社を辞めたくなった」(同率18.5%)が続いた。
- 「仕事の難易度」では「大変だと感じた」(23.1%)がもっとも多く、「会社を辞めたくなった」(21.2%)、「不安に感じた」「不満を抱いた」(同率17.3%)と続いた。同項目では、離職意向のない新人の28.1%が「不安に感じた」と回答しており、離職意向のある新人よりも10.8pt高い結果となった。
- 「仕事の量」では「不満を抱いた」「大変だと感じた」(同率25.5%)がもっとも多くなった。
離職意向のある新人へ、上司との関係性におけるギャップをどのように捉えているかたずねた。
- 「上司とのコミュニケーション」では、「会社を辞めたくなった」「不安に感じた」(同率23.6%)がもっとも多くなった。16.4%が「安心した」と回答し、離職意向のない新人よりも12.8pt少ない結果となった。
- 「上司からの仕事のアドバイス」では「会社を辞めたくなった」(25.5%)がもっとも多く、「不満を抱いた」(18.2%)、「貢献したいと思った」(16.4%)と続いた。
- 「上司への悩み相談」では「会社を辞めたくなった」(28.6%)がもっとも多く、「不安に感じた」(20.4%)、「成長の機会と感じた」(16.3%)と続いた。
- 「上司からのスキルアップサポート」では「不満を抱いた」「我慢した」(同率24.5%)がもっとも多くなった。
- 「上司とキャリアについて話す場」では「会社を辞めたくなった」(22.9%)がもっとも多く、「不安に感じた」「大変だと感じた」(同率20.8%)と続いた。
上司との関係性において「会社を辞めたくなった」と回答した割合が多い順に見たところ、1位が「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識)の習得」(31.9%)、2位が「上司への悩み相談」(28.6%)、3位「上司からの仕事のアドバイス」(25.5%)、4位「上司とのコミュニケーション」(23.6%)という結果になった。
離職意向のある新人へ、職場の雰囲気や文化におけるギャップをどのように捉えているかたずねた。
- 「配属先」では、「会社を辞めたくなった」(23.3%)がもっとも多く、「貢献したいと感じた」(20.0%)、「成長の機会だと感じた」「落ち込んだ」(同率15.0%)と続いた。
- 「職場の雰囲気・文化」では、「不安に感じた」(23.9%)がもっとも多く、「大変だと感じた」(18.3%)、「会社を辞めたくなった」(15.5%)と続いた。
入社前後のギャップに対する回答を、離職意向がある新人・離職意向がない新人で比較した。その結果、「ギャップ:上司への悩み相談/回答:安心した」(22.1pt差、離職意向がある新人:8.2%、離職意向がない新人:30.3%)において、もっとも大きな差が生じた。
先輩や同期からのアドバイス・相談で「助かった」と感じたのはどんな時かたずねた。
- 先輩の場合、「仕事につまずいた時」(27.4%)がもっとも多く、「会社や仕事に不満を感じた時」(25.0%)、「職場の人との人間関係に悩んだ時」(22.6%)と続いた。
- 同期の場合、「職場の人との人間関係に悩んだ時」(28.6%)がもっとも多く、「自分の成長に不安を感じた時」(20.2%)、「キャリアについて不安を感じた時」(19.0%)と続いた。