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DXや残業ゼロはあくまで手段 原田泳幸氏×正能茉優氏 昭和と平成の経営者が語る令和の働き方

2019/10/30 07:00

 2019年10月、アドビはAdobe Document Cloud Business Conference 「BEYOND(ビヨンド)」を開催。素材の収集から加工・デザインと実装、そしてデータを分析するまで一連のワークフローを提供する会社へと進化している同社。本イベントは、とくにDocument Cloudを通して企業のDXを推進していく決意のもと開催された。本稿では基調講演「平成生まれ×昭和生まれ2人の経営者から見た令和の働き方とは?」セッションの内容をお伝えする。

競争力を高めるための「働き方改革」

――それぞれ働き方についてお話しいただけますか。

原田 最近、若い経営者の支援や指導もやっているのですが彼らに言うのは「マネジメントと言うのは7割人事・3割財務」だと言うことです。良い人を採用し、育成することためには、人事制度の変革に加えて組織文化や働き方をどう変えていくかが非常に重要なわけです。

よく使われる言葉として「残業ゼロ」「女性の社会進出」「デジタルトランスフォーメーションによる働き方改革」がありますが、これらは手段であり目的ではありません。すべては事業の競争力を向上するためです。競争力とは企画の質と実行スピードのことです。日本のホワイトカラーの生産性は先進国でももっとも低くなってしまっています。

その原因を、私は戦後の経済復興の時代にまでさかのぼって考えています。協調性やコスト競争力を持ちアメリカが発明していた自動車や半導体を逆輸出していった時代。しかしそこにあったのは、終身雇用と会社に対する忠誠心、そのために年功序列・家族寮・独身がある。そういう文化でした。いまだに日本では仕事ができないと判断しても社員を解雇することは難しいという実態があります。人件費が高止まりするので、固定費のリスクを回避する手段として、ボーナスで金額を調整します。

社員は40時間の残業の支払いを前提とした給与で生活をしています。つまりいくら「残業ゼロ」といっても残業せずに帰ると生活ができない、ローンが払えないからです。私は日本マクドナルドで残業ゼロを目指し5年かけて、平均月3時間まで減らしたのですが、それはたいへんなことでした。「女性の社会進出」も手段です。女性の持つ生産価値と能力を発揮する国と企業は競争力を発揮できるから行うわけで、進出自体が目的ではありません。そしてここには少子化も絡んでいます。夫も妻も互いにいつ帰ってこられるかわからない労働環境のなかで、子育ての計画は立てられません。少子化も国家の危機だと思います。

 
株式会社原田泳幸事務所 代表取締役 原田泳幸氏

組織は少ないメンバーで質の高い企画をつくり、とてつもないスピードで実行する必要があります。よく社内の意識調査では「コミュニケーションが良くない」「情報共有がなされていない」という声があがります。Appleのときもそうでした。しかし、すべての情報をすべての社員に共有すると逆に生産性は落ちます。情報をプッシュ型で共有するのではなく、誰がどんな責任を持っているだけを周知する。そうすると、自分のミッションを達成するために能動的に情報をとりにいけるわけです。「Who does what?」です。1人ひとりのミッションやKPIのオーナーシップを明確にしていきましょう。

経営の指標として、売上・利益率・クレームなどさまざまなデータが存在するわけですが、Excelシートを全員に配るのは絶対にやめたほうが良いです。それぞれが自分勝手にビジネスインサイトを見つけようとして時間がかかります。少ない戦略のブレーンがデータからインサイトを見つけてまとめそれだけを共有することで集団の質を高めることができます。

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