21世紀がサブスクリプションの時代になった理由
全世界的にサブスクリプションによるビジネスモデルが注目を浴びるのは、いくつかの要因があります。そのなかでも主要因は、消費活動及び企業活動の多様化による「所有の限界」です。当時の我が国における消費活動は、マイホームを所有し、自動車を購入する資金が大半でした。同時代におけるビジネスイノベーションは、銀行による「ローン(借入)」と集団的画一的マーケティングの「テレビコマーシャル」でした。また、所有の時代において、音楽鑑賞するにもビデオ鑑賞するにも、音楽やビデオは比較的高額で購入/所有する必要があり、余暇活動は家庭予算の観点から限定的とならざるを得ませんでした。
近代化が進み余暇活動が多様化してくると、比較的高額で所有権を得るよりも、さまざまな余暇を複数、安価で楽しみたい欲求が出てくるのは無理もないことです。企業活動においても同様で、自社の業務プロセスに適したシステムを高い金額と長い期間をかけて複数所有することは、減価償却の会計的発明を経てもなお重く、経済合理性が失われてきたのです。これが「Sler」(所有)から「SaaS」(利用)への大きなビジネストレンドとなっている理由です。
こうした消費活動、企業活動の多様化により、顧客ニーズが変化をしたことを経て、音楽に関しては「Spotify」が、ビデオ鑑賞に関しては「Netfilix」が台頭し、企業活動においても「Salesforce」、「Adobe」がいち早くサブスクリプション時代のニーズを捉え、21世紀を代表する企業群に成長を遂げています。まさに21世紀は、サブスクリプションの時代です。