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SalesZine Day 2025 Summer

2025年7月24日(木)13:00~18:20

高橋浩一さんがゆく! 大企業のセールスイネーブルメントの工夫

JTB法人営業の変革 コロナ禍を越え、「デジタル化」と「体験型」で進化する人材育成

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デジタルツールを浸透させたふたつの工夫

高橋(TORiX) ナレッジワークには情報をアップロードする必要がありますし、既存の情報をもとに企画書を作成するとなると各人の行動変容も求められます。そのあたりはどのように工夫されたのでしょうか。

渡辺(JTB) 最初はやはりなかなか情報が上がってきませんでした。そこで、当社では年に1回全社員を対象としたアワードがあるのですが、そこに応募する際のプラットフォームをナレッジワークにしてその中で評価を行うことで、必然的に使わざるを得ない状況をつくりました。当然、戸惑いもあったと思うのですが、現場がツールを扱うきっかけとなり、共有される情報の量はどんどん増えていきました。そのほかに拠点ごとにDXのリーダーを配置した結果、今は投稿数が約1万2,000件に達しています。

画像を説明するテキストなくても可

高橋(TORiX) それはかなりの数字ですね。自社のイベントを使って施策を推進されたのは、イベント企画のプロであるJTBならではの取り組みだと思います。

渡辺(JTB) 営業としては自分のノウハウを「盗まれたくない」という心理が働き、情報を掲載したくないという守りの意識も生じるものです。そのため、情報をどんどん上げればその分評価されるという評価の仕組みも考案しているところです

高橋(TORiX) これまでの法人旅行ビジネスではJTBブランドで一定の集客が可能だったと思うのですが、提案できる商材が増え、顧客のニーズを探って寄り添っていく提案型のスタイルでは営業担当者に新たなスキルが求められます。良い企画書・提案の共有以外の点で工夫されている点はありますか。

渡辺(JTB) おっしゃるとおりで、以前はとにかくお客様の要望をうかがって企画書を作成することが多かったのですが、現在は多彩なソリューションを提供しているため、営業側から仮説に基づいたプロアクティブな提案が必須です。また、提案時にマーケティングに基づいたデータをお客様に提供し、共に施策実施後の効果検証まで行っていくという習慣を営業メンバーにも定着させています。

 そこで人事制度も変え、マーケティング部門に営業部門の若手を数年間登用し、一定期間を経て再び営業現場へ戻り、周囲にマーケティングの知識を波及させるという取り組みも行っています。

高橋(TORiX) デジタル化やマーケティングの導入によって働き方の柔軟性が増した一方、大企業ほどベテランも多く、そうした方々が変化についていけないという状況が生じます。そこはどのように対処されていますか。

画像を説明するテキストなくても可

渡辺(JTB) おっしゃるとおり、デジタルスキルの習得度合いには個人差があります。長年の経験を持つ社員の中には、新しいデジタル環境への順応に時間を要するものもいます。そこでその層にフォーカスした研修を用意し、デジタル問題や今後のキャリアに対する不安をグループで話し合えるような仕組みを提供してフォローしています。

商材を社内で体験し、顧客に提案できる循環型モデル

高橋(TORiX) 営業レベルの均質化以外に、個人のスキルをさらに高めるための取り組みはされていますか。

渡辺(JTB) ご指摘のとおり、我々のビジネスにおいてもっとも大切なのは営業担当者の資質です。「この人に任せておけば安心」と思ってもらえると、何年も仕事を受注できるという側面もありますからね。そこで我々の事業領域では、3年前からさまざまなレイヤーに分かれた階層別研修を独自に開発しています。講師を招いて外部からのインプットを行ったり、実際に販売しているサービスを経験してもらって自らがエンゲージメントを体験するなど、細分化された研修を月1回程度の頻度で行っています。

画像を説明するテキストなくても可

高橋(TORiX) なるほど。JTBにおける人材育成の独自ポイントとして、顧客に提案する内容を自社でも体験し、実感を持って提案する仕組みが循環しているわけですね。その具体的な商材や研修にはどのようなものがあるのでしょうか。

渡辺(JTB) 先ほどお話した約1,000名が参加するアワードの表彰イベントの様子を、3分程度のプロモーション映像としてまとめ、営業ツールとして活用しています。基本的な説明を入れながら情緒的な部分と機能的な部分をお伝えし、会場の手配だけでなく、運用方法や従業員のモチベーションを上げるためのちょっとした工夫をセットにして提案しているのです。表彰式後の懇親会を縁日風にしてあるのですが、それも営業メンバーが体験することで、お客様に伝えやすくなっています。社内イベントもそのような部分を意識しながら企画しているところが、ひとつ我々の特徴といえるでしょう。

 ほかにも、去年はコロナ明けでハワイ旅行が苦戦していたので、もっとも訴求力が高いグループリーダーを100名以上ハワイに連れていき、現地を経験してもらいました。ホテルの皆さんとコミュニケーションを図ったり、オリジナルメニューを試してもらったり。当然経費もかかりましたが、そこは前例にとらわれず、その時期とタイミングでふさわしいかたちになるように研修をつくり上げています。

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さらなるデジタル活用で営業の働き方を高度化させる

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この記事の著者

SalesZine編集部 宮田華江(セールスジンヘンシュウブ ミヤタハナエ)

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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

石田仁志(イシダヒトシ)

IT系フリーライター、記者。IT系の業界紙で記者として15年活動、編集部門のトップを経てフリーに。エンタープライズ系からTech系、組込み系まで幅広い領域を取材。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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