聞き上手は耳で聞くのではなく「心で聞く」
トップ営業スタッフは、決して思い込みバイアスやスコトーマに惑わされない。毎回、ゼロベースで相手に向き合い、丁寧なヒアリングを行う。
- 予算は?
- 頭金は?
- 月々の支払いは?
- 希望の間取りやエリアは?
まずは、このような基本的なことをヒアリングしていく。さらにここから深掘りしていく。
- 今いちばんの悩みは何か?
- 何をしている時間が好きなのか?
- 何が起きたら絶対に後悔するか?
などなど。まるで心理カウンセラーのように感情に踏み込んでいく。一見、商品の話と関係ないように感じるが、そこにヒントがある。感情の根っこまで聞き取ることで真実をつかみ取る。聞き上手は耳だけでなく、心で聞くことを心がけているのだ。
またお客様が、不安や悩みを共有してくださったとき、距離が一気に縮まる。お客様は「この人はわかってくれる」と思い始める。そうなれば、商品の機能や価格よりも「この人から買いたい」という気持ちが強くなるものだ。
結果を出している人は勝手な思い込みをせずに検証している。そんな一例を紹介する。

トップ営業スタッフの知人のこと。うちの娘へのお土産として“低カロリークッキーとこんにゃくゼリー”を持ってきてくれた。ほかの人であれば、スイーツやチョコを選ぶ場面だろう。娘も喜んでいたため、なぜこれをしたかと聞いてみると「年頃の女の子は甘いものは好きだけど、カロリーを気にしているから」と言っていた。
その事実について、わざわざ親戚の女の子にヒアリングしたという。勝手に「スイーツでいいだろう」と決めつけず、ほかの事例を検証していた。この行動ひとつで「だからこの人は普段から結果を出しているんだな」と納得した。
ヒアリングは、お客様とのやりとりだけでなく日常の中でも鍛えられるもの。家族や友人との会話でも先入観を捨てて、相手の話を深掘りするようすると良い。
- 今は何に興味があるのか?
- 何を不安に思っているのか?
- 解決したいことは?
こうした質問をして相手の本心を聞き取る。これをすれば周囲から「この人はわかってくれる」と自然に信頼を得るようになる。
ヒアリングはテクニックではない。どこまで真実をくみ取れるかがすべてだ。できる人は決めつけや想像で行動しない。的中率が低いことを知っているからだ。フラットな気持ちで聞き込んでいく。だからこそニーズにマッチしたものを提供できるのだ。
こういったヒアリング力をつけていけば、営業で結果が出るのはもちろんのこと、プライベートでも必要とされる人間になるだろう。