トップ営業スタッフの真実を聞き出すヒアリング法

営業経験が長くなるにつれ“このお客様はこうだろう”という先入観を持つようになる。営業スタッフによっては「お客様の気持ちは大体わかっている」なんていう人も。これがすべて悪いとは言わないが、致命的なミスにつながることも多い。
20年以上のあるトップ営業スタッフの知人は、「お客様の本心を聞き取るのは本当に難しいんですよ」と言っていた。これこそ真実だと思う。
どれだけ経験を積んでも、人の心を完全に理解することなどできない。だからこそ、わかろうとする努力を続ける必要がある。
苦戦している営業スタッフほど“知ってるつもり”でヒアリングする。だからお客様の真意が見えなくなる。思い込みを捨てて、フラットな気持ちでお客様と向き合う。このスタンスが非常に重要だ。
住宅の営業で言えば、次のような思い込みがある。
- 30代の夫婦の要望はこんなもの
- 40代夫婦の妻はきっとこう思うに違いない
- 50代のほとんどが同様の心配を抱えている
こんなテンプレート思考は捨てるべき。お客様をカテゴライズして型にはめてしまうことで、真実が見えなくなってしまう。人は1人ひとりすべて違う。当たり前のことだがそれを営業の現場では忘れがちになる。
こういったことを“思い込みバイアス”と呼んでいる。バイアスとは、偏ったレンズを通して世界を見ること。現実が歪んで見える。
もしくは“スコトーマ”と言う。スコトーマとは心理的盲点のことを言う。お客様の言葉が盲点によって正確に聞き取れなくなる。聞いているようで、聞けていないといった状態になるのだ。
この状態でヒアリングしてもお客様の本当の要望とはズレてしまう。当然、提案内容は気に入ってもらえず、商談もうまくいかない。最終的に他社に奪いとられてしまうのだ。