インサイドセールス組織の成長とともに事業も拡大
MAツール「SATORI」を約1,500社に提供しているSATORI。「もっとも進んだマーケティング実践企業であり続ける」というビジョンを掲げ、自らもユーザーとなり新たな取り組みに挑戦。得られた知見をユーザーに還元している。その活動の一環として今回のセッションで焦点を当てたのは、インサイドセールスの組織づくり。事業拡大の過程でマーケティングと営業の連動をいかに進めてきたか、MAの活用状況も交えて4つのフェーズに分けて語った。
マーケティングから営業まで約100人の組織を統括する堀氏は、自組織をマネジメントする際にふたつの問い「持続可能で効果的な営業活動ができているか?」「持続可能な営業とマーケティングの連携はできているか?」を常に念頭に置いているという。組織の人数や状況、各社が抱える課題はそれぞれ異なるにせよ、前に進むためには目指す高みを見据え、再現できるセールスプロセスを構築していくことが重要なのだ。その鍵となるのが、インサイドセールス組織とMAである。
SATORIのセールス組織は、次の図のような「The Model」型の構造だ。リードを生み出す部分はマーケティングが担い、商談創出や商談後の関係構築、継続的なフォローアップをインサイドセールスが担当。検討度合いが高い顧客との商談のみをフィールドセールスが受け持つ形式で、3つの部署が関連して顧客の開拓を進めている。
インサイドセールス組織は今から5年半前に発足。現在は約25名の組織に成長し、役割も細分化されている。立ち上げ当初からMA「SATORI」を活用しながらマーケティングとセールスをつなぐ役割を担っており、「インサイドセールス組織の拡充とともにセールスの実績も伸びてきた」(堀氏)という。
インサイドセールスの確立から1年で商談数は2倍に
2015年の創業段階、つまり初期フェーズではインサイドセールスは存在せず、マーケティングとセールスのみで営業活動をしていた。「問い合わせや資料請求がきたものを中心に、マーケティングが電話をかけたり、手が空いているときにセールスがアプローチをしたりと、みんなが何でもやるような状態でした」と堀氏は当時の状況を振り返る。
そこからマーケティングの活動が整備されるにつれ、問い合わせや資料請求、ホワイトペーパーのダウンロードが増加。獲得できたリードにアプローチしきれない状況が生じた。そこでマーケティングやセールスがそれぞれの役割に注力しやすい環境をつくるために、インサイドセールス組織が立ち上げられた。
立ち上げ期(第1フェーズ)では、2名での半年間のテストを経て、3名で正式な活動を開始。「当初はマーケティング部門に紐づき、リードに迅速かつ漏れなくアプローチすることを中心に据えて活動を始めました。体制が確立されてから1年で、マーケティングとフィールドセールスがそれぞれの役割に注力できるようになり、商談獲得数を2倍にできたのです」(堀氏)という。
MA活用の観点では、ウェブサイトに訪れても資料請求まで至らないユーザーに能動的にアプローチするため、インサイドセールス組織として「SATORI」の活用に着手した段階だった。一方、当時は属人的な側面も強く、個々の活動の可視化や内容の体系化が必要になっていた。
コロナ禍の3年をかけて、「組織」に生まれ変わった
第2フェーズは従来の直販に加え間接販売を開始した時期で、人員も5名から7名に拡大。エンドユーザー向けと販売パートナー向けの2系統でインサイドセールス活動を実施していた。同時に、マーケティングが展示会やコンテンツマーケティングなどさまざまな施策を展開し、リードの獲得件数もさらに増加。施策の中心はそれぞれの流入経路に応じて漏れなく最速でアプローチすることになっていった。
そこで、第1フェーズで課題となっていた属人的な業務の可視化や言語化、仕組み化を進め、少しずつ体制を整えることに。それらの活動を通じて、新たにインサイドセールスを起点としたターゲットリードにアプローチする活動が始まり、MAの活用も広がっていった。
加えて、事業拡大のために顧客を増やしていかなければならないタイミングでもあり、営業を効率化させるために顧客の状況に応じたアプローチ手法の確立、つまり再現性の確立を進めていく必要が生じた。そのためさまざまなリードの状況を定義すること、その定義に応じたアプローチを用意し組織のリーダーやマネージャーを育成することが求められたのだ。
第3フェーズは、コロナ禍に突入した時期であった。イベントもオンライン化し、顧客にとってオンラインが身近になったことも含め、検討段階のリードが増えてきたという。このタイミングで組織も10名から15名になり、直販とパートナー向けだけでなく、問い合わせ担当のチームや育成チームがインサイドセールスチームに加わり、組織が細分化されていった。
「チームが多層化し連携の必要性が高くなってきました。ライトな層が増えたことでリードへの接続率が低下傾向にあったため、MA活用の施策も高度なものへ変更。調整のコストは大きくなり、仕組み化だけでなく、メンバーの育成やキャリアパスの設計など、さまざまな課題が山積していました」と堀氏は振り返る。
そこで、組織連携の仕組みを1つひとつ用意し、テストを重ねた。結果を言語化して仕組みとして落とし込み、陳腐化にならないようにブラッシュアップする作業を3年間かけて繰り返し実施したという。「第3フェーズが本当の意味で、個から組織に生まれ変わったタイミングでした。ツールの活用よりも、組織の仕組みづくりに注力していました」と堀氏は語る。
第4フェーズへ進化 経験がMAベンダーとしての強みに
そして現在、SATORIのインサイドセールスは第4フェーズへと進化を遂げている。人員も約25名に増加。成果指標や行動指標もしっかりと固まり、組織化が進んでいる状況になっているとのこと。KPIも従来の商談数や受注数という大枠から、成果指標と行動指標など細かく設けているという。
また今後の展開については、「インサイドセールスの中での部分最適が進み、良い組織になってきました。一方で、事業視点ではもう一段階成長することを考えて、今期1年かけて全体最適に向けた新しい仕組みをつくっていきたいです」(堀氏)としている。
インサイドセールスの立ち上げから現在のような組織に至るまでの取り組みで得たさまざまな知見は、顧客サービスにも役立てているという。「『SATORI』をご利用いただくお客様に、私たち自身が失敗してきたこと、うまくいかなかったことも含めてナレッジを還元できることが、MAベンダーとしての我々の強みになっている。セールスの組織づくりに悩みを抱えていて解決の糸口を探している方は、気軽に声を掛けてほしい」と堀氏は話す。
最後に堀氏は改めてMAの役割を解説した。
「MAは、顧客開拓を仕組み化するサービスです。オートメーションといっても勝手に顧客が増えるのではなく、獲得した見込み客をちゃんと管理し、継続的な接点を持って最終的に営業にパスするという一連の流れを、効果的に仕組み化していくツールです。導入メリットとしては、見込み客の獲得、育成の効率化、見込み客の状態に応じた適切なマーケティング施策を打つことができる点などがあります」(堀氏)
それらのメリットに加えてSATORIは「顧客の獲得に強みを持ち、導入がシンプルで初心者でも使いやすく、実体験を踏まえたサポートに強みを持っている」(堀氏)と語り、セッションを締めくくった。
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