購買意思決定に不可欠な要素は「信頼できる企業であること」
こんにちは。HubSpot Japan パートナー事業部 部長の岩井智朗です。連載第5回めとなる今回は、「信頼」を醸成する顧客との関わり方について解説します(これまでの連載の記事はこちら)。
「信頼」というテーマを取り上げるにあたり、まずお見せしたい調査結果があります。HubSpotが実施している年次調査「日本の営業に関する意識・実態調査2023」によると、購買意思決定における最重要要素は前年の調査時と変わらず「信頼できること(41.7% ※前回調査の33.6%から8.1pt増加)」であることが明らかになりました。そして、「信頼」を醸成する鍵は、「顧客との日々の関わり方」にあるという調査結果も出ています。
とくに2022年から続く世界的な不況下においては顧客の予算状況も厳しくなっていますが、そんな中でも製品の「品質」や「価格」を超えて、「信頼」が購買の最重要要素になるという結果となりました。この結果は、HubSpotがこれまでの連載でも唱えてきた「インバウンドの思想」=「まずは相手の役に立とうとすること」の大切さを示しているのではないでしょうか。
「相手をハッとさせる対話」が信頼につながる
では、インバウンドの思想にもとづき「信頼」を醸成するためには、どのようなアクションをとれば良いのか。
過去の自分を振り返ると、商談の際に、つい前のめりに「買ってください!」という姿勢になってしまったこともありました。しかし、これは先に相手から価値を受けとろうという自社の利益目線の姿勢であり、顧客も身構えてしまいます。
インバウンドの思想にもとづく営業活動では、まずは顧客の役に立つためのアクションをとることを意識します。「自分(会社)のことを考えてくれている」と相手に思ってもらえるような対話を行うことが大切なのです。
私は、営業プロセスのすべてにおいて「相手をハッとさせること」を常に意識しています。私の経験では、相手がこちらの言葉に対し「おっ、そこまで調べて考えてくれていたのか」「あっ、たしかにうちの会社の問題点はそこだ」と思わずハッとするとき、そこに「信頼」が芽生え始める感覚があります。つい先日も、初回の商談で顧客から「HubSpotさんは当社のことをすべて理解してくれていますね」と驚きの言葉をいただき、数回のお打ち合わせで大型の受注が決定したこともありました。
相手をハッとさせるためのポイントは次のふたつ。インバウンドな営業活動とは、実は顧客に初めてお会いする前から始まっています。
- 仮説を設計するための綿密な準備
- 真の課題・目的を把握するためのヒアリング
実際に、HubSpotの営業チームがこれらをどのように実践しているのか、次のページから具体的に解説していきます。