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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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企業の競争力を高める「営業DX」とは? 日本の営業組織の未来を探る powered by SalesZine

2024年4月18日(木)14:00~15:30

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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SalesZine Day 2022 Summer(AD)

データ活用で営業活動が変わる! 7つの営業ファクターから見る「営業コンテンツ」作成のポイント

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 日本企業の営業ROI(投資利益率)がほぼ全業種で国際水準と比べて低いことや、営業の仕事満足度は企画職や技術職、事務職よりも低いことが示された調査もある。SalesZine Day 2022 Summerに登壇したナレッジワークの高嶋大生氏は、「営業生産性の低さ」「仕事満足度の低さ」を生み出している現在の営業手法を変える、「データとナレッジで実現する新時代の営業組織づくりの秘訣」について解説した。

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激変する社会と「NEW SALES」の必要性

 2022年6月、高嶋氏が所属するナレッジワーク・CEOの麻野耕司氏が『NEW SALES -新時代の営業に必要な7つの原則-』(ダイヤモンド社)を上梓した。そもそも、なぜ営業組織の変化が必要なのか。理由のひとつとして高嶋氏は、「商品のライフサイクルが早くなっていること」を挙げ、新たな製品や機能が次々と追加され、営業担当者の商品理解が追いつかない状態であることを指摘した。また、単に紹介するだけではモノが売れない時代にもなっている。つまり、プロダクトがコモデティ化し、ソリューション営業への進化が求められる中で営業パーソンたちは、なかなか営業手法の高度化に対応することができず四苦八苦している状況と言える。

株式会社ナレッジワーク ビジネスユニット カスタマーサクセスマネージャー 高嶋大生氏

 実際に生じているのが、「営業担当者が営業活動に時間を使えていない」という困った問題だ。高嶋氏はマッキンゼーの調査で、日本の典型的なBtoB企業の営業担当者と、グローバルのベストプラクティスとの時間配分に大きな差があることを指摘。日本の場合、利益の源泉となる顧客とのコミュニケーションに費やす時間は全体の10~25%、ベストプラクティスと比べても2分の1から3分の1ほどであることが明らかになった。

「これをベストプラクティスのレベルに引き上げようとしても、個人の努力では難しい。時間配分を変えて、利益を出すためには、営業という仕事の構造自体を変えていくしか方法はない」と高嶋氏は述べ、「従来が『背中を見せて育てる営業』だとすれば、これからは『ナレッジを共有して育てるシェア営業』が必須になる」と語った。そしてそれを「NEW SALES」と呼び、チーム全体でナレッジを武器として戦う方法が浸透する必要があることを強調した。

育成における「コンテンツ」と「ノウハウ」の関係性

 ナレッジには2種類あり、ひとつは「営業コンテンツ」、もうひとつは「営業ノウハウ」だ。「ナレッジ」を歴史的に紐解くと、経営学者である野中郁次郎氏が1990年に著した『知識創造の経営』(日本経済新聞出版)の中で、社内に眠っている知恵やノウハウなどの“暗黙知”を言語化して“形式知”として共有し、組織を進化させるものを「ナレッジマネジメント」としたことが起点となって各社の取り組みが加速したと考えられる。しかし、ナレッジマネジメントで成功した企業はまだまだ少ない。

 高嶋氏は「ノウハウを突き詰めていくと、実はコンテンツが重要になってくる。マニュアルやトークスクリプト資料などを読むだけでは実践は難しい」と語る。

 たとえば新人育成の際に、手とり足とり教え、フィードバックを返し、背中を見せて……とさまざまな支援を行ってもなかなか成長してくれないことがあるだろう。一人前になるにはどうしても数年はかかる。しかし、コンテンツは即効性がある。ひとりで何でも語れる営業になるには数年かかるが、質の高いコンテンツ(営業資料)を説明して顧客に価値を届けられる営業には、数週間でなることができる。そして、小さな成功を積み重ねながら、コンテンツに内包されるノウハウを習得していくことが必要だ。

 高嶋氏は「コンテンツでアクションを繰り返しながら、その中でノウハウを学び繰り返し定着させていくのが望ましい。つまり、人を育てることをゴールとしても、人にアプローチすることではなく、実はナレッジを育てることで、そこから人が育つ。そうした順番が必要なのではないか」と語る。

7つのファクターで「営業コンテンツ」作成のコツを紹介

 では実際にどのような「コンテンツ」を用意すれば良いのだろうか。まず高嶋氏はナレッジワークが実施した「売れる人」と「売れない人」へのインタビューから見えてきた、営業成果に関わる7つの要素を紹介した。

 またこれらの営業ファクターごとに必要な営業ナレッジを整理した表は次のとおり。ファクターごとに用意した営業コンテンツを活用しながら、プロセスごとにノウハウを蓄積し、各人のスキルとして定着・向上させていくというわけだ。

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 それでは具体的にそれぞれのコンテンツについて紹介していこう。

1)会社紹介資料(自社紹介のナレッジ)

 会社紹介のシートでは、本来自社の魅力を知ってもらうことが目的だが、実際には“事実の羅列”になってしまいがちだ。そこで、会社概要とは別ページを作成し、顧客がとくに魅力や信頼を感じる情報を抜き出して提示することが必要だという。

2)商品紹介資料(商品紹介のナレッジ)

 商品紹介は重要だが、同じく機能の説明や羅列になりやすい。しかし、顧客が購入するのは価値や理想をそこに見るからだ。有名なマーケティングの説話「ドリルと穴」の例と同様である。そこで、顧客にとっての「理想」からスタートさせ、課題→価値→方法というストーリーで紹介することが望ましい。

3)顧客事例資料(顧客理解のナレッジ)

 2)のストーリーを描こうとしても、顧客が「理想」を見出せていないケースも多い。むしろ顧客と共にその理想を見出していくこと、描くことが営業の仕事とも言える。そこで効果的なのが顧客事例資料だ。人は自分のことはわからなくても、人を客観的に見ることで自分に置き換えて考えることができる。そこで、顧客事例を示すことで、課題→導入理由(価値)→方法→効果と、具体的なイメージを持ってもらいやすくなる。

4)競合比較一覧表(競合比較のナレッジ)

 提案が通り、検討段階に入ったときに意識すべきなのが、競合比較だ。その際に重要なのは、「競合との違い」ではなく「判断基準」。たとえば、次の図の例で言えば、同業界の実績では劣っていたとしても、そのほかの部分の顧客の判断基準を把握したうえで競合比較の一覧を作成すれば説得材料となる。

5)ヒアリングシート(ヒアリングのナレッジ)

 ソリューション営業であれば「課題は何か」と問いたくなるが、これにいきなり回答できる顧客は多くない。そこで、まずは顧客が「話しやすい順番」でヒアリングすることが大切だ。現状→理想→課題、という順番でヒアリングシートも作成する。

6)顧客提案資料(顧客提案のナレッジ)

 最終的な顧客提案では、「受注する理由」ではなく、「失注する理由をなくすこと」が重要になる。失注の理由としては、不信・不要・不適・不急の4つが多いと言われており、資料の中でそれを潰すことが重要となる。

7)クロージングファクター(クロージングのナレッジ)

 クロージングで重要なのは、課題だけでなく、どのような検討プロセスを経ているかを知っておくことだ。商談が終わったあと、内部で関係部署に対して調整を行ったり、稟議書を上げたり、さまざまな行程を経て決裁が下りる。つまり、クロージングは提案活動ではなく、お客様と一緒に検討プロジェクトを進めていくもの。どんな人が関係し、どのような情報を求めているかを把握し、対応することが重要だ。また、社内の関係図まで残しておくと、後任にも発注プロセスが伝わり、再現性のあるクロージングが可能になる。

営業タイプ別で必要とされるナレッジ共有と活用

 7つのプロセスにおける営業コンテンツは、営業のタイプによって強化するものが若干変わる。たとえば、「パッケージ営業」で重要なのは「営業ポジショニング」であり、いかに差別化できるかが大きなポイントとなる。そのため、主なナレッジとして「汎用商品の紹介資料」を語ることが必要であり、その内容を営業メンバーがしっかり理解し、いかにナレッジ共有を進めていくかが課題になる。

 一方、「カスタマイズ営業」の場合は、個別の資料を活用するケースが多い。そのため課題となるのは、誰がどんな資料をつくったかなど、営業メンバー同士のナレッジ共有が進まないことだろう。

 社内の営業ナレッジの活用において“共有”はとても重要なことだ。そして共有には「集約性」「更新性」「利便性」を意識した運用が必須となる。まずは共有の場をひとつに設定して集約性を担保し、常に新しいものとして更新するサイクルを設定することで更新性を担保する。このふたつがかなえば自ずと利便性も高まることになる。

 高嶋氏は「このようにしてナレッジをつくって運用することによって、人がナレッジによって育っていく。それがNEW SALESのシェア営業になる」と語った。

営業活動が変わる! データでボトルネックを探し改善を

 そしてもうひとつ、NEW SALESを実現するには、データの活用が鍵になる。営業領域ではDXを支援するさまざまなITツールが進化しており、CRMやSFAによる顧客管理、さらにMAによる見込み顧客の獲得、さらに一歩進んでSE(Sales Enablement)によって顧客提案スキルを伸ばす企業も増えてきた。米国では約60%の企業にSEが導入されているという。そして、それと足並みを揃えるように「勘と経験に頼る営業」から、「データを活用する“スコア営業”」へ大きなシフトチェンジが始まっている。

 スコア営業とは、「誰に=顧客ターゲット」「どのように=営業プロセス」「何を=営業コンテンツ」の3点についてデータを分析・点数化することで効率的な活動を支援しようというものだ。

 たとえば、横軸に営業プロセス(情報収集・課題設定・比較検討・最終決定)、縦軸に顧客ターゲットを置いて、それぞれの進捗率をデータからスコア化していく。すると、たとえば次の図では、比較検討から最終決定への遷移率が低い。つまり、ボトルネック化しているというわけだ。

 さらに顧客ターゲットのデータを見ると、顧客セグメントAの進捗率が低いことがわかる。そして、セグメントAが大手企業だとすると、クロージングベースが非常に重要であるのにも関わらず、ROI資料やスケジュールフォーマット資料などの使用率が低く、適切に使われていないことがわかったとする。このようなデータがあれば、それを基に営業ナレッジの改善・運用強化を行うことができる。

 また、データとナレッジを活用できるツールとしてナレッジワークが提供するソリューション「ナレッジワーク」が紹介された。営業資料や動画、社内ノウハウを届ける「ナレッジ領域」、ナレッジを活用した営業の学習を進める「ラーニング領域」、営業プロセスとナレッジをつなげる「ワーク領域」、営業力強化を体系的に営業組織に埋め込む「セールスイネーブルメント導入支援」を網羅し、ひとつのツールで体系的に営業力強化を実現できる。「昨年に有料化して以来、1社も解約は出ていない」と高嶋氏が語るように、高い満足度を誇る。導入には高嶋氏はじめコンサルタントが伴走するため、安心して活用できるという。

「つまづくポイントは1人ひとり、状況によって異なる。データを見て、傾向を把握し、そのうえでそれぞれの改善についてを見定める。それができたとき、激変するのが営業会議。『今どうなっているのか』を報告し合うのではなく、たとえば『A社のクロージングが弱いようだけれど、ここのコンテンツを変えて、こう活用してみよう』というように具体的な改善策を考える場にできる。そうすることで生産性が大きく変わる」と高嶋氏は語り、セッションのまとめとした。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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