コメディケーションで紐解く、オンライン商談での「聞き方」の極意
株式会社俺で代表取締役を務めております、中北と申します。私はかつて先輩に「どぶろっく」さん、後輩に「ANZEN漫才」などがいる浅井企画という事務所に所属し、お笑い芸人として活動していました。コンビ解散後、人事コンサルティング業界の営業としてセカンドキャリアをスタートさせ、芸人時代に培った「コメディケーション」を武器にトップセールスに上り詰めました。
2020年から2021年にかけて、オンラインでの会議・商談が、すっかり当たり前になりましたね。私もコンサルタントという職業柄、多くのお客様とオンラインでご一緒していますが、お客様から「非対面での営業活動におけるコミュニケーション課題」をうかがう中でも、とくに頻繁に耳にする課題は次の3点です。
- アイスブレイクで何を話していいかわからず、商談が「硬い」まま進んでしまう
- 対面時と比べて、お客様の感情を感じ取りにくくなった
- プレゼンが平坦になってしまい、お客様の興味関心の維持が難しくなった
このような課題が放置されていると、商談の手ごたえが感じづらく精神的にもよくないですし、なによりこれらの課題が解決されない限り、受注への道のりは遠く険しくなる一方です。では、どのようにお客様との商談を「心理的安全性の高い」ものとし、相手の本音を引き出せばよいのでしょうか。
本稿では、オンライン商談を顧客にとって心理的安全性の高い空間に仕上げる「聞き方」のテクニックを「お笑い」のエッセンスを交えた「コメディケーション」の視点で解説していきます。
コミュニケーションの「ふたつの前提」を認識する
スキルの解説に入る前に、前提として押さえていただきたいポイントが2点あります。
ひとつめは、コミュニケーションは「相互関係」であるということ。D・カーネギーが自著『人を動かす』(訳:山口 博 /創元社)でも紹介している「返報性の原理」からもわかるように、お客様が「本音を話してくれていないな」と感じる場合、話し手である営業側も心理的距離を空けてしまっていたり、苦手意識があったりするケースがあります。お客様の本音が見えない、と感じた場合は「自分はお客様に対して本音で話ができているのか?」を自問自答してみてください。
ふたつめは、画面の映り方です。アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」でも語られているように、「人は視覚情報で判断されてしまいがち」であることを改めて認識することをおすすめします。
上記の4パターンは、当社が商談や研修を提供する中で実際に遭遇した画面の映り方の「悪い例」です。「相手の画面に映し出されている『自分』」を客観視できていないためです。
とくに、(3)や(4)が映し出された場合には、お客様から「仕事を任せてよいか不安」などのマイナスの印象を抱かれかねません。逆に、私がお会いしてきたトップセールスの方々は、カメラの映りにこだわってウェブカメラとして一眼レフを用意したり、背景に絵を飾ったりするなど、「画面に映る自分」の印象をよりよくするための努力を惜しまない方が多いです。