ホームページの改修・リニューアルを管理部門だけでやってはいけない
顧客と会う機会が減少し、直接会わずに顧客と接触できる新規営業の手法が求められている。第2回で説明したウェビナーも有効的だが、ウェビナーは開催回数に限界がある。企画→準備→集客→運営と、時間も手間もかかるためだ。数多くの見込み客にアプローチするための手段のひとつに企業ホームページがある。近年、ホームページを見直して一部を回収したり、全面的にリニューアルしたりする企業も増えてきた。
企業ホームページの歴史は古い。「こんな会社でこんな事業をやっています。採用募集もしていますよ」という基本情報を掲載しておけば良かったころは、管理部門がホームページの更新などを担当するケースが多かった(制作自体は協力会社への依頼や社内制作とさまざまだが、本稿では制作作業については割愛する)。このように、会社に関する最新情報を掲載しておくだけで良かった時代を「ホームページ時代」と私は呼んでいる。
しかし、2021年の今は「コーポレートページと製品・サービスページ時代」に入っている。「ホームページ」というひと括りの役割では済まなくなるほど、企業がウェブ上に発信する情報の量が多くなってきているのだ。詳しく説明していこう。
まず、「コーポレートページ」の機能を果たすために必要なのは、「基本的な企業情報」「採用情報」「IR情報」だ。これらによって「企業ブランディング」を実現し、企業のイメージアップをする役割をコーポレートページは担う必要がある。そのためには、相当量のコンテンツとウェブ制作作業が必要になる。良い人材を採用するための採用ページは、人材採用会社と協力して制作する必要があるだろうし、上場していれば、投資家向けに最新のIR情報を更新する必要もある。
次に、「製品・サービスページ」だ。従来のように「こんなものを売っています」とだけ掲載していれば良い時代ではなくなった。顧客は、インターネットの情報を中心に自ら情報収集し、学び、比較する。顧客が自ら情報武装をする「顧客主導」の時代においては、掲載する情報も顧客志向のものでなけば、届かないようになってきているのだ。たとえば、製品・サービスの特徴だけでなく、想定される顧客の利用シーン別に導入メリット、導入後の万全なサポート体制や導入事例についても伝える必要がある。そして、もちろん競合他社のホームページにおいても、同じように情報発信が行われている。
このような背景のなか、ホームページのリニューアルを管理部門だけが中心にとなり進めていくことは、コンテンツや作業の質・量から考えても難しくなってきているのである。「ホームページは管理部に任せています」という営業部門があれば、新規営業への準備がまったくできていないと言える。
これからホームページの見直しやリニューアルを進める際には、「コーポレートページ」と「製品・サービスページ」を分けて考えてほしい。ここまでの内容を理解してもらえれば、コーポレートページは管理部門、製品・サービスページは営業部門と担当が自然と分かれるのではないだろうか。しかし、そうやって顧客志向の製品・サービスページを営業部門が担当することになった際、いったいどこから手をつければ良いのだろうか?