継続利用される限り、伴走し続ける 分業制へ踏み出したワケ
――現在に至るまでのキャリアについて教えてください。
学生時代から、自分が納得しないことをやること、断片的に物事を考えて処理することが好きではなくて、いわゆるサラリーマンは向いていないのではないかと士業を目指していました。夢をかなえるためにも、中小企業で事業全体を見渡す経験はしておきたいと考えており30人くらいのベンチャー企業の経理からキャリアをスタートしました。経理だけではなく、人事・労務など、なんでもやりました。次にシェアハウスやホステルの管理会社に転職するのですが、ここも50人くらいの規模で同じく経理を含め、あらゆる仕事をしました。
いまも税理士になろうと考えているのですが、そのためにはどういう武器が必要かと考えているときにfreeeに出会ったのです。経理担当者でしたが、業務ではひたすらExcelと紙やインストール型の会計ソフトを駆使していたので、freeeのことはまったく知らなかったですね。入社後は一貫してパートナー事業部で会計事務所向けに支援を行うカスタマーサクセスの仕事を担当しています。率直に、良いツールだと感じましたし、会計事務所を支援しながらITツールにも詳しくなることができるのは、自分のキャリアを考えても願ってもない仕事だと思えました。
――カスタマーサクセスの業務範囲を教えてください。
営業が契約したあとの、すべてです。顧客が継続して利用し続けてくれている限り、導入支援から定着はもちろん、新規の商材のご提案も含めて必ず誰かが携わっている状態をつくっています。とはいえ、あまりにも長いスパンとなるので現在は分業しています。導入初期の半年間を主に担当する「オンボーディングチーム」と、その後の定着支援を担当する「アダプションチーム」があり、私はオンボーディングチームのマネージャーをしています。
――佐々木さんが入社したころは、どういう体制だったのでしょうか?
もちろん職種としてはあったのですが、会計事務所向けの部署は立ち上がって半年くらいのタイミングでした。分業には至っておらず、営業後のすべての工程をずっとカスタマーサクセスが伴走し続ける状態でした。顧客とひと口に言っても、使い始めたばかりでまずは機能についてよりよく知ってもらうためにたくさん接点を持つべきお客様から、すでにかなり使いこなしていて、別のツールとの連携について実際の活用事例をもっと聞きたいと考えているお客様などが入り混じっていて、現場としては対応の幅が広すぎて業務がひっ迫しているような状態でした。分業し始めたのは、2018年の10月ごろです。継続利用してもらっている限り顧客は増え続け、多種多様な活用状態になっていくということは、やり続けたからこそ、気がつくことができたことですね。
――新しい職種だからこそ、採用・教育も難しいのではないかと思っています。
まさにいま、オンボーディングチームにも新卒が3人います。新卒は、プロダクトのことも知らないし、会計の知識もまだありません。そんな若手でも1ヵ月以内に顧客と対話できるように、プログラム・マニュアルは相当整備しました。ただ「本当の意味のサクセス」は、一朝一夕で身に着くスキルではないと思っています。
――「本当のサクセスができているメンバー」とは、どういうメンバーでしょうか。
まずは、いかに顧客を導入段階の「オンボーディング」から「卒業」させられるかどうかを見ています。会計事務所の方々は顧問先に対してfreeeだけを使っているわけではないことも多く、いつでも代替されてしまう可能性があります。そうならないために、顧客が実現したいこと、言語化できていないことまでを理解して、顧客の成功のためにツールを活用してもらうという姿勢が重要です。それを計る指標のひとつに顧問先や、周囲の会計事務所に「紹介されているか」というものがあります。自分が納得して使ってないと紹介してくれることはありえないので、重要な指標です。