バーチャレクスグループのバーチャレクス・コンサルティングは、「カスタマーサクセスに関する実態調査」第5弾の結果を公開した。
今回の調査では、自身がカスタマーサクセスに取り組んでいる724名を対象に、「効果を感じている」層と「効果を感じていない/どちらとも言えない」層のカスタマーサクセス運用の違いを比較。とくに顧客満足度やNPSの向上に直結するカスタマーサクセスのプロセスやツールの整備が、ビジネスパフォーマンスにどのような影響を与えるかを分析した。
運用プロセス・ルールの制定はカスタマーサクセス効果に直結
今回の調査対象者に、サクセスロードマップに基づいた運用プロセス・ルールを定めているかどうかたずねた。カスタマーサクセスの効果を感じている層では、52.5%の企業がオンボーディングからエンゲージメントまでのフェーズを分けた運用プロセス・ルールを定めていた。また、29.6%の企業が試験的に運用を開始していた。
一方で、カスタマーサクセスの効果を感じていない・どちらとも言えない層では、37.9%の企業が「わからない」と回答。また、フェーズ分けを実施している企業は9.9%という結果になり、過半数の企業がまだ試験運用段階か、もしくは何も着手していない状況が明らかになった。
サクセスロードマップ:顧客が成功に至るまでの過程を段階的に明確に定義したもの
フェーズ分け運用によるカスタマーサクセスツールの活用状況
カスタマーサクセスにおいて、フェーズ分け運用をしている、あるいは試験的に運用を始めている層と、フェーズ分け運用を行っていない、もしくはわからないと答えた層のそれぞれで、カスタマーサクセスツールの利用状況を確認した。
フェーズ分け運用をしている企業では、顧客情報管理やヘルススコア管理ツールの利用が確認された。とくに、運用が整備された企業ほどカスタマーサクセスの効果を強く感じている傾向があった。一方、フェーズ分け運用をしていない企業では、ツールの利用が限定的で、運用プロセスの不足が顧客満足度に影響を与えていることがうかがえた。
一方、フェーズ分けの運用を行っていない層ではツールの利用率が低く、とくに、効果を感じていない層では「ツールを利用していない」と回答する割合が高いことが確認された。
サクセスロードマップのフェーズ分け基準とカスタマーサクセスの効果
フェーズ分け運用を行っている、または試験運用を始めている層に対して「サクセスロードマップをどのようなクライテリア(基準)でフェーズ分けを行っているか」と質問し、その結果をカスタマーサクセスの効果体感別にグラフ化した。
カスタマーサクセスの効果を感じている層では、46.6%が単体のヘルススコアの閾値を使用してフェーズ分けを行っていた。一方で、効果を感じていない層は、58.1%が複合的なヘルススコアを基準として使用していることがわかった。
また、ヘルススコアと期間を組み合わせてフェーズ分けを行っている企業の割合は、効果を感じていない層で23.7%という結果になり、複数の指標を使って運用プロセスを管理していることがわかった。
フェーズ分け運用による業績および顧客満足度の差異
フェーズ分け運用を行っている層と行っていない層における業況や顧客満足度の違いを調査した。フェーズ分け運用を行っている企業では、約7割が売上高の向上を実感し、6割以上が利益率の向上を感じていた。また、向上を感じた回答者では、カスタマーサクセスの取り組みの効果を実感している割合が多くなった。一方、フェーズ分け運用を行っていない企業では、それぞれの項目で4割以上が「変化を感じない」と回答した。
続いて、顧客満足度やNPSに関して調査した。顧客満足度の向上を実感しているのは、フェーズ分け運用を行っている層で61%、運用に至っていない層で26.5%という結果になった。とくに、運用に至っていない層では半数以上が「変化を感じない」と回答した。
NPSについても、フェーズ分け運用を行っている層の半数以上が向上を感じている一方で、運用に至っていない層の約6割は「変化を感じない」と回答した。
【調査実施概要】
「2024年カスタマーサクセスに関する調査」
調査方法:インターネットアンケート
調査実施期間:2024年3月21日~3月25日
対象地域:全国
対象者:20歳から 65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生をのぞく)5万3,110人