日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は、「オープン・ソーシング戦略フレームワーク」(※1)の中核ソリューション「金融サービス向けデジタルサービス・プラットフォーム(IBM Digital Services Platform for Financial Services、以下DSP)」(※2)を通じて、生成AIを短期間に導入できる「DSP生成AI拡張機能」を開発したことを発表した。
金融機関は、「DSP生成AI拡張機能」を活用することで、生成AI導入による業務の高度化・自動化・省力化などのビジネス効果を得ることが可能になる。またセキュリティーや通信記録管理などで想定されるリスクへ対応する機能を追加することもできる。2024年5月末よりサービス提供を開始する予定。
※1 デジタル変革を推進する金融サービス向け「オープン・ソーシング戦略フレームワーク」を発表(2020年06月16日)
金融機関の経営戦略実現を支援するための「金融次世代勘定系ソリューション戦略」とロードマップを発表(2022年11月10日)
※2 DSP:マイクロサービスなどのクラウドネイティブな技術を活用し、金融デジタル変革(DX)を推進するソリューション
サービス提供開始の背景
生成AIは、金融業界においても、生産性向上やビジネス成長の原動力としての期待が高まっている。しかし、効果検証が難しいこと、データやシステムのセキュリティー対応や、複数の生成AIの活用状況のモニタリングの難しさなどが全社的な生成AI導入を進めるうえでの障壁となっていた。
そこで日本IBMは、安全かつ統制された環境下で生成AIを活用するためのソリューションを「DSP生成AI拡張機能」として開発した。
「DSP生成AI拡張機能」の構成要素
「DSP生成AI拡張機能」は、次の3つの要素により構成されている。
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1.Generative AI Applications:金融機関における各種業務を生成AIで高度化・効率化するアプリケーション群
本機能では、金融機関の通常の各業務を効率化するアプリケーションを複数利用できる。初期のラインナップとして「融資稟議書作成」「営業トークスクリプト作成」「営業日報作成」の支援や、業界共通で使える「AIチャット」「文書Q&A」の提供を予定。今後も継続的に「DSP生成AI拡張機能」に搭載する業務ラインナップを拡大していく。
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2.Generative AI Gateway:用途に応じて複数のAIモデルを使い分けながら、モニタリングや制御などの統合的な管理を提供するゲートウェイ
生成AIの活用状況のモニタリングや制御を一元化するため、watsonx.ai(Granite日本語版など)、Microsoft Azure OpenAI Service(GPT-4など)やAmazon Bedrock(Claude 3など)をはじめとする主要な生成AIへの接続を集約するゲートウェイとその管理ダッシュボードを提供する。今後、watsonx.governanceや他社製製品との連携など、生成AIの品質管理や生成AIを対象とする新たな手法に対応する予定。
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3.Generative AI Foundations:金融機関に求められるセキュリティー水準を備えたクラウド環境を構築するインフラ機能
生成AIを安全な環境で利用できるようにするため、End-to-Endでのプライベートなネットワーク接続を含むインフラ環境一式を構築する機能を提供。また、顧客が開発した生成AIアプリケーションのアジャイル開発をサポートするDevSecOpsパイプラインもオプションで提供する。
今回開発した「DSP生成AI拡張機能」は、企業が利用中のAzure、AWSに加え、今後はIBM Cloudでの稼働が可能になる。すでにDSPを利用している金融機関向けにはマネージド・サービスとして提供され、金融APIとのシームレスな連携により、コストパフォーマンスの向上を図る。また、DSPを使っていない金融機関も、「DSP生成AI拡張機能」の3つの要素から必要なものを利用することができる。