パーソル総合研究所が、有職者の地方移住に関する調査結果を発表した。なお、同調査における「移住」「地方圏」の定義は次のとおり。
- 「移住」とは、自らが何らかの意思を持って、主たる生活拠点を別の地域に移すことと定義し、会社都合の転勤およびバカンスなどの行楽的滞在は除くこととした。一方で、2拠点居住やノマドワーカーなどについては、「多拠点居住」として統合し調査・分析の対象とした。
- 「地方圏」とは、移住意向者・無関心者の移住検討先の地域より、東京23 区、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、大阪市、京都市、神戸市を除く、国内の市町村とした。
調査結果
故郷とは別の地域に移住する「Iターン型」が最多
社会人になって以降、自身の意向で都道府県をまたぐ地方圏への移住をしたことがある移住経験者のうち、もっとも経験者の多い移住タイプは、故郷とは別の地域に移住する「Iターン型」で38.6%であった。次いで、故郷の市町村に移住する「Uターン型」が20.2%、主たる生活拠点を持ちつつほかの地域にも拠点を設けて行き来する「多拠点居住型」が続いた。
転職なき移住が半数超え
移住経験者のうち、移住にともなった転職を行わなかった回答者は53.4%で、移住にともなう年収変化は、58.6%が「変化なし」と回答しており、「転職なき移住」が半数を超える結果に。
「Uターン型」「配偶者地縁型」は高い評価
移住経験者に、移住後の地域における暮らしについて「その地域に住むこと自体に幸せを感じているか」を5段階で評価してもらったところ、「Uターン型」「配偶者地縁型」は評価が高く、「Jターン型」「Iターン型」「多拠点居住型」は評価が低い傾向が見られた。調査結果に対して、同社は「Uターン型や配偶者地縁型は、そのほかの移住タイプに比べ、移住後の地域における情報や人脈を持っている場合が多い。そのため、リアリティショックや孤立などのリスクが低いことが影響していると考えられる」と見解を述べた。
「Iターン型」希望者が最多 多拠点居住型希望者も4割
今後の移住を検討中である移住意向者のうち、もっとも多く検討されている移住タイプは、故郷とは別の地域に移住する「Iターン型」で56.7%、次いで、主たる生活拠点を持ちつつほかの地域にも拠点を設けて行き来する「多拠点居住型」が40.1%という結果に。
移住意向者の検討段階とテレワークの関連性
移住意向者のうち、現在働いている企業において「在宅勤務」「遠隔地居住」の働き方が可能な状況にある人ほど、近い将来の計画として移住を具体的に検討している様子が明らかになった。
「不安があり、移住に踏み切れない」は半数超え
移住意向者のうち、「何らかの不安があり移住に踏み切れないでいる」旨の回答は51.3%と半数を超えていた。
移住にともなう減収「考えられない」20代は46.7%
移住意向者に対して、移住時の減収について許容できる減収幅を尋ねると、20代では46.7%が「減収は考えられない」と回答した。また、年代を経るごとに減収を許容する傾向も確認された。