ビズリーチが運営する「HRMOS WorkTech研究所」は、企業の人事担当者を対象にリモートワークにおける人事評価の問題点に関するアンケート調査を実施した。
47%が人事評価で新たな問題が発生・あるいは既存の問題が拡大と回答
リモートワークを実施している企業を対象に、リモートワークをきっかけに人事評価における課題が新たに生じたかを尋ねると、47%が「新たに発生」または「既存の問題が拡大した」と回答した。
新たな課題は「コミュニケーション状況やモチベーションなどの把握・評価」
リモートワークの実施によって新たに発生した問題を具体的に尋ねると、65.8%が「チームでのコミュニケーション状況の把握・評価ができない」、57.3%が「モチベーションや感情といった業務外の面の把握・評価ができない」と回答した。
「評価者による評価のばらつきと評価基準のあいまいさ」が拡大傾向に
リモートワークによって拡大した既存の人事評価の問題点を尋ねると、「評価者による評価のばらつき(48.2%)」と「評価基準があいまい(45.5%)」のふたつが最多であった。
フリー回答:一部抜粋
Q. リモートワークの実施により、新たに生じた人事評価の問題を具体的に教えてください。
プロセスではなく成果がより評価されるようになった- より実績に基づいた評価がされる傾向にあり、コンピテンシーの側面が評価しづらい。(人事部門 評価・給与担当/300名以上1,000名未満/サービス業)
- 日常から得られる情報が減ったことにより、プロセスから成果へと評価の比重が移っている印象がある。とくに若手はプロセスにおけるサポートが受けにくいため、成果に結びつきにくくなる傾向がある。その影響から社内でもキャリアの格差が生まれている。(人事部門 課長/100名以上300名未満/IT・インターネット)
業務以外(モチベーション・コミュニケーション状況等)の把握の問題
- 具体的な業務実態の把握が難しいことに加えて、コミュニケーション状況を評価に反映しにくくなった。(営業部門 部長[人事兼務]/300名以上1,000名未満/製造業)
- 本人が意欲を落としていても気づきにくくなった。(経営者・役員/50名未満/製造業)
- モチベーションやキャリア志向について把握する機会が減った。(評価・給与担当/50名以上100名未満/IT・インターネット)
- 同じチームでないメンバーの正しい評価を把握することが難しく、経営陣の耳にも届かない。抜てき人事などが難しくなった。(評価・給与部門 マネージャー/100名以上300名未満/IT・インターネット)
評価制度の問題
- 360度評価をしているがリモートワークの推進により、評価が限定的になってしまった。関わりが少ない社員は同じメンバーからしか評価されないため、劇的に成果や態度を変えない限り、評価が固定されている。(採用・人事制度担当/100名以上300名未満/IT・インターネット)
Q. 新たに発生した問題の解決に向けて実施していることがあれば、ご入力ください。
1on1やフィードバックの頻度を高める
- 評価面接・フィードバックの頻度を高めて問題の把握ができるように対応している。(経営企画部門 部長/100名以上300名未満/電気・ガス・水道業)
- 従業員同士・チーム間のコミュニケーションを強化するため、部門ミーティングの実施を義務化。コミュニケーションルールの導入を行った。(人事部門 部長/50名以上100名未満/不動産業、物品賃貸業)
- 1on1など対面コミュニケーションの頻度を高めた。(人事担当/50名未満/製造業)
人事評価制度の変更
- 目標・評価制度をMBOからOKRに変更することで、リモートワークでも適切な評価ができるよう運用を開始した。(労務、評価・給与担当/50名未満/IT・インターネット)
- 1on1ミーティングの推奨に加えて、グレードに応じた定性評価基準を策定した。(人事部門 マネージャー/50名以上100名未満/金融業・保険業)
システム・テクノロジーの導入
- タレントマネジメントシステムを活用することで、抜てき人事などに生かせないか検討中。(人事部門 マネージャー/100名以上300名未満/製造業)
- 横のつながりがなくなり、なかなか他部署やチーム間での情報共有が難しくなっているので、バーチャルオフィス等の導入を実施。(人事・組織開発担当/50名以上100名未満/IT・インターネット)