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勤務場所の自由度調査、日本が8ヵ国中トップに コロナ禍以降の勤務環境調査より/スチールケース調査

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 米国ミシガン州に本社を構えるオフィス家具メーカーのスチールケース社は、世界8ヵ国のワークスペースデザインの意思決定者を対象に、企業が勤務ポリシー、不動産、ワークスペース戦略の変化などに関する調査を実施した。日本およびグローバル調査の主な結果は次のとおり。

勤務ポリシーの変化

 在宅ワークは実行可能で有効であるという考えから、企業はオフィスワークからハイブリッドな勤務ポリシーに移行しており、従業員の働く場所の選択肢と自由を増やそうとしている。日本でも、コロナ後、従業員が在宅かオフィスかを柔軟に選択できる企業が増加し、オフィスワークの割合が小程度から中程度になると見込む企業が計86%で8ヵ国中最高ポイントとなっている。

コロナ前とコロナ後での複合的な勤務ポリシーの普及率の変化

コロナ後にリモートワークを拡大する理由

 企業はコスト削減のためではなく、従業員をサポートするためにリモートワークの拡大を進めている。

 リモートワーク拡大の理由は、8ヵ国平均では、従業員の働き方の柔軟性(38%)、生産性の向上(34%)、ワークライフバランス(30%)、人材獲得と維持(30%)が上位だが、日本では、従業員のワークライフバランス(45%)、働き方の柔軟性(38%)、人材獲得と維持(36%)がトップ3となっている。

不動産の変化

 企業は従業員の働く場所の選択肢と自由を増やそうとしているが、依然としてオフィスに価値を見出していることがうかがえる。多くの企業が2022年12月までにオフィス面積を拡大する計画で、本社と同じ都市または国にあるサテライトオフィスの利用が増えるとしている。

 在宅ワークにより、従業員が分散しても問題なく業務を行なえることが証明されたため、サテライトオフィスを活用して従業員のニーズに対応し、不動産をより臨機応変に利用できるように計画している。これは、とくに大都市に本社があり、通勤時間の長い従業員を抱える企業にとって重要である。ほとんどの国でコワーキングの活用がすすめられており、特に日本とフランスでの変化が大きくなっている。

 日本国内では、東京中心部の企業とそれ以外の地域で差があり、東京の企業では91%が、リモートワークが増えると回答している。なかでも人材の獲得と維持のためとの回答が東京の企業では顕著だった。

ワークスペース戦略

 企業は、長期間在宅ワークを行った従業員のオフィスへの復帰という課題を対処する必要がある。コスト水準が標準に近い状態に戻り、ワークスペース戦略に自信を持ち始めているが、失敗によってコストがかさむのを防ぐために、オフィスの試験的運用と評価に基づいてより良い意思決定を行おうとしている。一方、日本は、独自の労働文化が根強くあるため、リモートワークへの移行には時間がかかると考えられる。

 企業は、ワークスペースを大幅に変更する前に、試験的に従業員の行動を観察する予定であっても、それまでの間、従業員のニーズをサポートするために支出を続けている。昨年9月には、多くの企業が感染対策のために支出を増やしていたが、現在は通常の支出レベルに戻っている。中国は、オフィスに戻ってきてすぐに動けるようになったため、支出増の割合がもっとも高くなっている。

ワークスペースの変化

 リモートワークが増えても、会議と集中の両方をサポートするオフィスは存続している。本当に生産的なコラボレーションは、分散型では難しいといわれており、一般的なワークモードではないため、コロナ後のオフィスで重視する要素としては最優先事項ではない。

 多くの企業は、従業員の新しい期待と行動に対応するために、デスクの利用形式を変更している。フリーアドレスの割合は平均で42%のまま変わらないと予想されるが、コロナ前の利用形式を維持するとの回答者はおよそ半数のみ。残りは、フリーアドレスを増やす(リモートワークを拡大してオフィスの利用を最適化する)という回答者と、固定の自席(従業員をオフィスで広く配置して集中しやすい職場にする)という回答者に均等にわかれた。

 アメリカ、イギリス、ドイツ、日本では、企業規模とデスクの利用形式の変化との間に有意な関係があり、大企業はフリーアドレスを増やす傾向が非常に高くなっている。

ワークスペースで重視される要素

 全体的に、オフィスで重視される要素が変化している。多くの国で、依然として感染対策がもっとも懸念されているが、その重要性は大きく低下している。その代わりにほかの要素が台頭し、企業は自社の意思決定が従業員、コミュニティ、世界へ及ぼす影響についてますます配慮するように。その結果、サステナビリティと従業員のウェルビーイングがワークスペースの設計と意思決定における優先事項となった。

コロナ後に期待するワークスペースの変化

 アメリカ、イギリス、ドイツ、日本では、企業規模とデスクの利用形式の変化との間に有意な関係があり、大企業はフリーアドレスを増やす傾向が非常に高くなっている。

 コロナにより、多くの企業は日常的な機能以外のオフィスの課題について考えなければならなくなり、次のような要素が重要視されるようになった。

サステナビリティ

 優先度が明らかに高まっており、多くの顧客が具体的な基準を設けている。関心が寄せられているトピックとして、脱炭素、所有に代わる選択肢、既存のオフィス家具の再利用、そのほかさまざまなESGの課題があげられる。特にイギリス、フランス、中国で重視されているという。

従業員のウェルビーイング

 ほとんどの地域で死亡者は減少しているが、パンデミックの長期的な影響として、従業員のウェルビーイングへの関心が高まっている。これには、身体の健康(感染対策や人間工学)と心の健康(メンタルヘルスやストレスマネジメント)が含まれる。特にイギリス、ドイツ、中国で重視されている。

柔軟性

 今回のパンデミックでは、外的要因によってビジネスがいかに混乱するかが明らかになったため、将来に備えて柔軟性に注目している企業もある。現在、多くの企業が従業員の変化に対する柔軟性を考えているが、変化の頻度についても検討しています。特にイギリス、ドイツ、日本で重視されている。

 コロナ後の在宅ワークのサポート

 リモートワークを増やしている58%の企業のほとんどが、コロナ後も従業員のホームオフィス家具の購入を支援することを計画している。ただし、中国では支援を行う企業が非常に少なくなっている。日本は8ヵ国中、サポートするとの回答の割合がもっとも高く、自宅で仕事をする従業員へのサポートが手厚いことがわかる。

 日本では、サポートする企業の68%が、家具を提供するか、手当を出すと回答し、厳選された家具のリストから従業員が自由に選ぶことを認めるとしている。特定のリストやパッケージから家具を提供することを想定している企業では、もっとも一般的なアイテムとして、デスク(44%)、上下昇降デスク(38%)とチェア(31%)が挙げられている。

調査概要

  • 調査期間:2021年3月2日~4月12日
  • 調査対象者:ワークスペースデザイン(社内A&D、FM、RE、HR)に関わる意思決定者 8ヵ国計789名(自国に本社がある回答者は97%/回答者の60%は大都市に本社を置く企業、89%は中小企業〈従業員数1~10,000人〉に勤務)

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