2019年、Adobe Signを活用した新しいテレワーク戦略「New Workplace Teleworking Initiative」の一環として、ユタ州副知事であるスペンサー・J・コックス氏(Spencer J. Cox)は、電子サインを導入した。テレワークは当初、より多くの職員によるリモートワークを可能にすることで、炭素排出量の削減、省スペース、州内各地への雇用分散の実現を図るために、政府の効率化事業のひとつとして計画されたものだった。
その後、ユタ州ではマグニチュード5.7の地震とCOVID-19の感染拡大が同時に発生。テレワーク体制の整備が急務となった。
ふたつの災害が同時に発生したことにより、家庭、仕事、健康、経済状況など、その影響は州の住民の生活のさまざまな側面におよんだ。しかし、ユタ州庁にはすでにデジタルソリューションが導入されていたため、職員は災害の影響を受けつつ、また外出自粛を余儀なくされながらも、引き続き重要業務に従事することができた。州の住民は災害が発生しても、必要な公共サービスに遅延なくアクセスすることが可能だった。
テレワークにあたり、アドビのソリューションを最初に導入したチームの反応が好評だったため、ユタ州は電子サインに関する動画を作成。「電子サイン」という言葉を広めるとともに、州政府の各部署によるAdobe Signの導入を促す取り組みを実施した。動画では、迅速かつ適切な緊急対応を実施できることを目標に、100%ペーパーレス化する利点や、大量の契約、承認手続きも容易に処理できるテレワーク環境の魅力について解説している。
緊急対応に向けたインシデント対応計画を含め、政府が策定する計画や提供するサービスには、複数の関係者によるコメントや承認が必要とされる場合が多い。緊急調達計画の回覧、承認には通常2〜3日かかるが、同ソリューションの導入により数分で完了できるようになった。Adobe Acrobat DCおよびAdobe Signの使用を積極的に拡大することで、数百件におよぶ調達契約、業務計画、助成金、予算、そのほか契約の回覧・承認が可能に。部署間の連絡体制の効率化が実現した。
州内の多くの機関がこの機会に新たな文書処手順を導入。3月および4月の電子サイン件数が大幅に増加した(出典…Utah Department of Technology Services)。
Adobe Signの導入により、各文書のレビュー担当者や承認者を各職員が確認できるようになったことで、プロセス全体の説明責任や透明性が確保可能に。また、未対応の送信文書や担当部門不明案件もなくなり、より質が高くタイムリーなサービスを州民に提供できるようになった。これにより、これまで数日から数週間かかっていた住民への回答を数時間で行えるようになっただけでなく、セルフサービス文書の公開も実現した。
電子サインの導入により、ユタ州政府は今回の緊急事態に迅速に対応できただけでなく、長期的な効率性や事業継続性を確保できる体制を強化することができたとのこと。